高齢者

わかりやすい!高齢者の医療と介護

高齢者をとりまく医療と介護はここ数十年で劇的に変わりました。高齢者が少なかった時、何も介護に対して施策をしてなかったので、増えまくった結果、介護保険作ったり、いまは施設でも高齢者が増えすぎているので、国は、施設介護よりも在宅介護を推し進めていたりしています。
医療部門は、高齢者医療確保法を作って、壮年期からの予防から後期高齢者の医療、医療費適正化計画まで、手広くやっています。とりあえず、これまでの大きな流れを理解しましょう。細かい知識が入りやすくなります。

 高齢者の医療と介護のざくっとした歴史

  1. 昔は老人病院が医療も介護も全部やってた。介護保険法もなく、特養とか老健施設とかきちんとなってなかった。骨折で入院した老人の治療だけど、治っても帰るところがないからっていって、老人病院にいれて、看護婦が介護やってるみたいな感じだった。病院だからお金めちゃくちゃかかるけど医療保険のお陰で上限決められているし、老人が病院で悠々自適みたいな…
  1. 老人が増えてくると医療保険がいよいよやばくなってきた。コストが高い病院ではなく介護施設を作って、介護保険制度もつくり、医療保険の負担を分散して、病気じゃない老人を世話する、いわゆる介護専門の施設や人員を配備。こちらのほうが老人病院よりもお世話を効率的にまわせて、コストは安くなった。 
  1. さらにさらに老人が増えてくると、介護施設も溢れてきてしまった。特養に入るのに数年待ちとか、、、待っている間になくなってしまったり、、、施設運営もコストがかかるし、っていうので、今度は在宅介護の仕組みを充実させて、老人を家で無理なく世話できるシステムを作っていこう、というふうに国はカジを切り始めた。地域密着型サービスとか、地域支援事業とか、地域包括ケアシステムとか、施設系の介護ケアに加えて在宅介護もどんどんしていきましょう―!という感じ。(2016年いまここ
 

地域密着型サービス(もっともナウな介護の形を目指して)

  1. 小規模多機能 居宅介護:訪問介護の拠点として、また、通所=デイサービスも行う。介護よりは予防に特化。
  2. 24hの定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  3. 夜間対応型 訪問介護:夜に特化した緊急時の介護
  4. 認知症対応型 通所介護:認知症に特化したデイサービス
  5. グループホーム(認知症対応型 共同生活介護):認知症が9人以下で一緒に暮らして介護受ける
  6. 地域密着型 特定施設入居者 生活介護:29人以下の有料老人ホーム。よりきめ細かいサービス
  7. 地域密着型 介護老人福祉施設:29人以下の特養。よりきめ細かいサービス
 

地域包括ケアシステムを回す医療部門

  1. 在宅療養支援診療所(医者)
  2. 在宅療養支援病院(医者)
  3. 在宅療養支援歯科診療所(歯科)
 

健康な老人に対する事業(地域支援事業=介護保険使えない)

  • 一次予防事業:元気老人に健康教育・パンフ等。65歳以上すべての人が対象。
  • 二次予防事業:介護申請出したけど、非該当だったヨボヨボな老人に訪問型・通所型で栄養改善、口腔機能向上!、運動器の向上の訓練などする
 
  • 「地域支援事業」は「介護保険受けれない、健康な老人」に行う。介護保険使えない。
  • 「地域密着型サービス」は「要支援・要介護」者に行う。

老人福祉法と介護保険法

老人福祉法はずっと昔からある法律。介護保険法ができて、大部分が介護保険法にかかれてしまったので、老人福祉法は介護保険法で抜けているところをサポートするような感じなってします。また、以下のように、施設の定義とか住み分けできています。

老人福祉法 が 特別養護老人ホーム
を定める。特養自体はたくさんあるが、そのうち30床以上で、非常勤でも医者をおいたところが、
介護保険法 で 介護老人福祉施設
として登録される。
 

老人福祉法が定める7つの施設

  1. 老人デイサービスセンター=日帰りのサービス
  2. 老人短期入所施設(ショートステイ)=2週間まで老人預かる
  3. 介護老人ホーム(いわゆる老人ホーム、介護保険使えない=市町村がお金出す)
  4. 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設=介護保険使える)
  5. 経費老人ホーム(ケアハウス)
  6. 老人福祉センター=無料or安く、健康増進・レクレーション提供
  7. 介護老人支援センター : 地域包括支援センターと似てる
 

介護保険法の3つの施設(医療の依存度の低い順)

  1. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):介護、死ぬまで入所。医者いなくてもよい by 老人福祉法、介護保険法
  2. 介護老人保険施設(老健施設):リハビリ+医療+介護、退院が前提、医者常駐 by 介護保険法
  3. 介護療養型医療施設(老人病院):普通に医療を行う。老人病院の名残り→移行期の特別措置で置いているだけで、将来なくす予定 by 医療法、介護保険法
 

高齢者医療確保法の意外な事業

1.
医療費適正化計画
高齢者に医療費がかかるので、「介護と医療の」あるいは、「予防事業と治療の」かぶっているところとかを適正化してより無駄のない形にするための計画。医療法、健康増進法、介護保険法の3つに横断的にテコ入れしていく。 

  • 医療費適正化基本指針全国医療費適正化計画 by 厚生労働大臣|5年ごと
  • 都道府県医療費適正化計画 by 都道府県|5年ごと

 

2.
特定健康診査等実施計画(特定健康診査+特定保健指導)

  • 特定健康診査等基本指針 by 厚生労働大臣
  • 特定健康診査等実施計画 by 保険者|5年ごと

 

3.
75歳以上でも特定健康診査的なものがあります!

  • 40〜74歳:特定健康診査 + 特定保健指導
  • 75歳以上:後期高齢者医療健康診査!(腹囲項目ないだけで、検査項目などは、特定健康診査と全部同じ)

鼻咽腔閉鎖不全の発音・構音の異常について

今回は、口蓋裂や脳血管障害で麻痺が起きた場合に起きる、鼻咽腔閉鎖不全などでの発音に関する問題です。しっかり誰が教えてくれるという教科がありませんので、勉強がしずらい。けどここ数年バリバリに国試で問われています。

口蓋裂言語

口蓋裂の人は発音に異常が生じることが多いです。構音障害は大きく2つ、

  1. 鼻咽腔閉鎖不全に関連する構音障害
  2. 鼻咽腔閉鎖不全に関連が少ない構音障害

に分けられれます。それぞれどのように異常ができるのか見ていきましょう。

 

1.鼻咽腔閉鎖不全に関連する構音障害

まずは問題を解いてみましょう。

108A-98

鼻咽腔閉鎖不全によって /na/ に聞こえる音はどれか。 1 つ選べ。

  1. /da/
  2. /ha/
  3. /ka/
  4. /pa/
  5. /sa/

 

正答 1

 

鼻咽腔閉鎖不全の開鼻声の覚え方
「バーバパパがママ、だったなら」

  • 「ba」「pa」→「ma」と発音される
  • 「da」「ta」→「na」と発音される

上の絵は、正常なヒトの発音時の咽頭の状態を示したものです。左側の2つは、鼻咽腔を開いたまま発音するもので、右側の2つは、鼻咽腔を閉じないと発音出来ないものです。つまり、上記の矢印のような変化が、鼻咽腔閉鎖不全のヒトでは起こります。右側の発音は出来ずに、すべて、左側のような状態で発音することになります。

  • 「ba」「pa」→「ma」と発音される
  • 「da」「ta」→「na」と発音される

となるわけです。

鼻咽腔閉鎖不全に関連する構音障害

  • 呼気鼻漏出による子音の歪み
  • 声門破裂音
  • 咽頭摩擦音
  • 咽頭破裂音
  • 喉頭摩擦音
  • 喉頭破裂音

 

声門破裂音

例えば、上のリストの2つ目、「声門破裂音」は、口腔内圧が保てないので、構音点が喉頭まで後退してしまう現象がおきます。そうすると、口腔内圧を必要とする子音を連続では発生できずに、とぎれとぎれの母音になってしまいます。
つまり、「たなか」は「あ・な・あ」と発音するようになります。「たなか」は口腔内で破裂させるのがわかりますよね?でも「あ・な・あ」は破裂などさせずに、声門のところだけで十分発音できますよね?
/b/ や /t/ や /k/ など発音するとわかりますが、破裂音や破擦音は、どこで空気を破裂させているか?というと、「口腔内」で破裂させていますよね。鼻咽腔閉鎖不全のためにそれができずに、「喉頭」で破裂させてしまうのがこの声門破裂音です。無声破裂音(t, p ,b, dなど)・破擦音(ts, dzなど)を発生する時に、破裂・破擦部位が声門部まで後退することが多くみられます。

他の「咽頭破裂音」「喉頭破裂音」なども同じように、構音点が後ろに下がることで起きる歪みです。

 

2.鼻咽腔閉鎖不全に関連が少ない構音障害

 

こちらの異常は、鼻咽腔は閉鎖できるが、舌の運動や口蓋の形がおかしいことで生じるものです。昔は、口蓋裂の患者さんでは手術がよくなく鼻咽腔閉鎖不全の人が多かったですが、近年は手術技術が向上し、この鼻咽腔閉鎖不全に関連が少ない構音障害が増加してきています。こちらは以下の3つがあります。

  1. 口蓋化構音:構音の位置が後方へ後退して発生する歪み。/t/などの歯音が/k/などの口蓋音に後退して歪みます。たたみ→かかみ
  2. 側音化構音:呼気が口蓋側方から出てしまって子音が歪む。舌縁と臼歯で作られる歪み音。「き・ち」→「き」、「し・ひ」→「ひ」
  3. 鼻咽腔構音:構音点が軟口蓋と咽頭後壁で作られて、口からではなく鼻から音が抜ける音です。n など鼻音っぽくなります。

最後に以下の問題を解いてみましょう。

新作

次のうち、鼻咽腔閉鎖不全に関連の少ない構音障害でみられるものはどれか。すべて選べ

  1. 鼻咽腔構音
  2. 声門破裂音
  3. 側音化構音
  4. 喉頭摩擦音
  5. 口蓋化構音

正答 1,3,5

 

今回は以上です。

発音や構音について、基本中の基本

発音や構音について

 

上記の構音表をみるためのポイント(実際に発音しながら読みましょう。)

  • 二大勢力、p,b,t d,k,gなどの「破裂音」とs, z, hなどの「摩擦音」がある。
  • 「破裂」とは空気をためて一気に放つこと。「摩擦」は、空間狭くして空気を摩擦させる感じ。
  • その中間に破裂も摩擦もする「破擦音」/ts/、/dz/などがある。
  • 「鼻音」は鼻に抜ける音。m, nなど
  • /r/ は「弾音」とよぶ。
  • どこで破裂・摩擦させるかで、4箇所覚える。
  • 1.唇、2.歯、3.口蓋、4.声門
  • ほとんどの音が、1,2の唇か歯で、破裂〜摩擦させた音である。3.口蓋音は/k/ /g/  /j/の3つのみ。4.声門音は/h/のみ
  • 有名な「パタカラ」体操は、パ:唇音、タ:歯音、カ:口蓋音、ラ:弾音、とこの構音部位を前から後ろへ一つずつ移動させたものである。(すべて無声音)
  • 「有声音」「無声音」声帯を振動の有無を言っている。「有声帯音」と呼ぶとわかりやすい。

要支援、要介護になった原因

要支援、要介護になった原因(H26国民生活基礎調査=基幹統計より)

要支援
要介護
1位
関節疾患
脳血管障害
2位
高齢による衰弱
認知症
3位
脳血管障害
高齢による衰弱
4位
骨折・転倒
骨折・転倒