薬理

基礎系、最強の参考書

今日はこの問題です

109A-46

舌咽神経によって支配されるのはどれか。2つ選べ。
a 声帯
b 舌下腺
c 頸動脈小体
d 茎突咽頭筋
e 口蓋帆張筋

正答 c d

舌咽神経の支配についての設問です。dの茎突咽頭筋は、簡単に選べると思います。声帯ってどの神経だっけ?頸動脈小体は、どこにあるのか、何をやっているのか、昔生理学で習ったけど、、、明確にイメージができない、、、解剖の講義でのまとめをみると、、、

舌咽神経

  1. 【運動】茎突咽頭筋・上咽頭収縮筋(疑核→舌咽神経→頚静脈孔→茎突咽頭筋・上咽頭収縮筋)
  2. 【感覚】咽頭の感覚、舌後ろ1/3の感覚と味覚
  3. 【副交感神経】耳下腺の分泌(下唾液核→舌咽神経→頚静脈孔→鼓室神経→小錐体神経→蝶錐体裂→耳神経節→耳介側頭神経に伴行→耳下腺)
  4. 【自律神経系?】頸動脈小体(血中CO2濃度センサー)、頸動脈洞(血圧センサー)
のような感じでしょうか…

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カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より

  

 

基礎系は、底なし沼

例えば、この問題で間違ったとして、その後の勉強はどの範囲までカバーして拾っていくでしょうか。上に書いた舌咽神経の支配や走行を覚えるのは必要でしょう。

また、選択肢の中のよく知らない単語を調べることも重要です。今回で言えば、私は「頸動脈小体」についてその機能などがぼんやりな感じでした。2年の生理学で習ったはずの細かな知識。こういったものを繰り返し復習して身につけなければなりません(しんどい…)。

「頸動脈小体」が舌咽神経支配だということよりも、「人体のpH調整」や「呼吸中枢との関係」など、、、のほうが重要かもしれません。こうして雪だるま式に覚えることが増えていきます。

このように基礎系の科目は、臨床系の科目に比べて勉強のコスパが悪いです。6年生から勉強しようとした時、その膨大な量に呆然とすると思います。しかも沢山覚える割に、国家試験では数問しか出題されないというドMな構造。必死に覚えても、数カ月後に忘れまくっている。。。しかし、できるヒトはみんな解けてしまう。丸暗記では到底太刀打ちできません。

効率的に基礎系を勉強するにはどうしたらよいでしょうか?

 

実践の解説やNEW TEXT?

例えば実践での「頸動脈小体」の解説はこれだけです。

頸動脈小体は舌咽神経に支配されている。生命維持に関わる動脈化学受容器に一つで、動脈血の酸素分圧の低下、二酸化炭素分圧やH+濃度の上昇を感知し呼吸数や一回換気量、心拍数、1回拍出量を増加させる。

この文章を呼んで、100%、人体のpH調節と頸動脈小体の役割について理解できる人は少ないと思います。特に僕は文章だけの説明から実際の現象をイメージするのがヘタで、わかりやすいイラストや図説などがないとうまく定着できず丸暗記になってしまいます。NEW TEXTなどもコンパクト過ぎてイメージがもてず丸暗記になりがちです。もっと、図とかイメージでもって、実際に働いている様を文脈とか流れ、物語として理解させてほしい!!

 

この本がお薦め「人体の正常構造と機能」

この本、医科系のなんですが、人体、解剖、組織学、生理学、生化学など横断的にまとまっています。そして絵や図が非常にわかりやすい!Amazonの評価も異常に高いです。例えば頸動脈小体を調べたいと思ったら、、、 

 頸動脈小体 大動脈小体 詳細
カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より

こういう感じで、ズバッとでてきます。

  • pHは、化学受容器の頸動脈小体
  • 血圧は、圧受容器の「大動脈小体+頸動脈洞」
というのもまとめて覚えるのが良いですよね。そしてそれぞれの紐付いている神経もイメージしやすくのっているのがいいです。その神経は中枢で呼吸中枢とかに接続していくんだな―とか。動脈のそばに小体がついているから、そのまま血のpH濃度を測れるんだな―とか、頸動脈小体は舌咽神経だけど、大動脈小体は迷走神経なんだなーとか、この絵をみることでイメージできます。
  

人体では、pHや血圧をどのように調整するんだっけ?  

そして、読むうちに、センサーが頸動脈小体だとして、その後どうやってpHを調整しているんだろう?、、と疑問がわいてきます。そういった疑問をさくっと読んで解消できるのがこの本のすごいところです。生理学的な人体の機能と解剖・組織学の構造のあたりであれば大抵のことが超わかりやすく解説されています。実際に少しみてみましょう。

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カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より
 
 

化学受容器が動脈血のガス分圧を監視し、呼吸を調節する

このフレーズは、「化学受容器」の説明ページのタイトルなんですが、どれもタイトルが秀逸なんです。一文だけでぐっと理解させるわかりやすい見出し。

実際に「化学受容器が動脈血のガス分圧を監視し、呼吸を調節する」というタイトルとその短い文を読むだけで「なるほど!呼吸でCO2(=酸のもと)を排出して、体内のpHを調整できるんだ!」というのがすぐ理解できてしまうというか。

例えば、運動時で乳酸が沢山産生され、H+が増え、身体が酸性に傾いたときの調整はこうです。

  1. 化学受容器=頸動脈小体は頸動脈にあるので、そこの血液からCO2濃度上昇を感知
  2. 「頸動脈小体」→「舌咽神経」が興奮
  3. 舌咽神経の興奮が、呼吸中枢へ
  4. 呼吸中枢から呼吸を促進する命令がでる→沢山息を吐いて、CO2を外に出す
  5. H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O+CO2 この式でCO2がでていってくれるので、右向きの反応が加速しH+を沢山回収できる。
  6. 左端の重炭酸によるH+の緩衝がすすみ、pHが下がる
というところまで、数ページ眺めるだけでまとめて理解できてしまします。
 
何より、この本は、全て「1見開き、1テーマ」で完結するように書かれています。長々と詳しい専門的な説明、というよりも、短い文で全体をつかむための内容で「へーヒトってそうやって動いているんだ―よく出来ているなー」という瞬間が多く訪れてきます。図と文章が相互に説明しあっているというか、読んでいて本当に理解が早いです。
 
 

大きな括りで俯瞰的なまとめ

上の図は「血圧調整」と「pH調整」のまとめという観点からも秀逸です。なかなか神経と器官の位置が入り組んでいて、複雑なんですが、「pH調節」と「血圧調節」の2つの系が連動して機能している様がわかりやすい。しかも、説明も短く最低限です。本当に質の高い本だと感心させられます。幾つかの本から寄せ集めれば同じクオリティの図版と説明がそろうとは思いますが、一冊に全部のっている本はなかなかないと思います。

 

血圧の調整はもっとわかりやすかった

さらに「大動脈小体」「頸動脈洞」などの圧受容器のセンサリングから始まる血圧の調整機構もわかりやすいイラストと短いシンプルな説明でささっと頭に入ってきます。
血圧調節
カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より

この3つの輪のイラスト、感動しました。血圧が「末梢血管抵抗」「心拍出量」「循環血液量」で決定されているということと、その調整が「自律神経系」「ホルモン」「腎臓」という大きく3つの手段で調整しているということが実にきれいに表現されています。血圧って血管にかかる圧力だから、たしかに管自体が縮めば圧力あがるし、中の血液量自体が増えれば血管の圧力が上がりますよね。そういうところまでイメージしながら理解を導いてくれる感じがすごくいいんです。
この他にも循環系の説明は、さらにわかりやすい図と説明が続くので、ぜひ実物を読んでみて下さい。

 

歯科にはうれしい嚥下系の内容も豊富

 解剖系は図のきれいさやわかりやすさが重要なんですが、骨学も筋も脈管、神経も図のクオリティがやばいです。動きなど解説されていわかりやすいです。

また、歯科医師必須の咬頭、声帯周りの軟骨と筋肉などの豊富です。声帯を緊張させる唯一の筋肉、「輪状甲状筋」ってすごく軟骨との動きがトリッキーでイメージしづらいんですが、見事に図説されています。「輪状甲状関節」がポイントだったんですね。また文章の解説もわかりやすいんです。ぜひ実際に読んでみて下さい。

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カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より

 

「組織学」も載ってます!

組織学的な図も秀逸。タイト結合が、帯状にしっかりと細胞間をまさに「タイトに」くっつけている様もわかりますし、接着斑とそれにくっついている細胞骨格=アクチン系で、デスモゾーム結合には中間径フィラメントなのも綺麗に表現されています。デスモゾームとヘミデスモソームが同じ色で、ほんとに基本的に同じもんなんだな―というのもわかってよいです。

組織学では、各臓器、典型的な組織像なんかも豊富に掲載されていて、マクロからミクロまで一気通貫で読み通せるので、理解を深めやすいです。

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カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より

 

「生化学」も載ってます!

生化学の糖代謝もすごいです。細かいのはどこにでも落ちてるんですが、糖代謝と脂質代謝からめてここまで綺麗でわかりやすい図はみたことがありません。ペントースリン酸回路のあたりの組み込み方とかすごいです。頭のなかでばらばらだったものがホント1つにまとまって整理できる感じがします。

シグナル伝達系の図説も豊富で、リガンドからどの受容体で細胞内でどんなことがおきていくのか、しっかりと書いてあります。ほんと俯瞰的というか網羅的というか、そのコンセプトと定着具合が素晴らしいと思います。

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カラー図解 人体の正常構造と機能 坂井 建雄ほか 日本医事新報社  より 

 

重要なこと:科目を越えて知識を結びつけていくこと

もしあなたがまだ低学年でこれから基礎系の科目を受けていくのであれば、この本をおすすめします。講義の復習、テスト勉強の度にそこを読んでおくだけで、知識のストック、まとまり方が全然違うと思います。6年生でも、今から基礎を仕上げなければいけないのであれば、すごい助けになると思います。

我々は結局は「ヒトの身体のこと」を学んでいるはずで、解剖、生理、生化、薬理など科を分けて学んでいたことを、最終的には1つのオーガニックなイメージにまとめていく作業が必要です。

この「統合」作業は残念ながら、学校では教えてくれません。各科のスペシャリスト、専門に詳しい人はいくらでもいますが、国家試験の全範囲をまんべんなく広く深く研究する科目はなく、それ専門の人材を多くの大学は雇っていないからです。大学の先生が、普段の知識のまま勉強せずに国家試験受けたら、合格できるのは何%になるでしょうか。

なので科目間の統合については勉強している「あなた自身」でやるしかなく、正にCBT、国家試験の点数差はそこのまとめ方のセンスに大きくよっていくような気がします。丸暗記では膨大な量でも文脈や論理やストーリーにまとめあげていけると「覚える」のではなく、まさに人体の生きるイメージが頭の中に自然にできあがっていきます。そういった作業の助けになるのがこの本だと思います。実際に私自身が歯学部で勉強してきた経験から自信をもっておすすめできる本です。

 

知識の値段はいくらだろう

この本は2万弱もするため、そう安々と買うことはできません。その2万円にはどのような価値があるんでしょうか。例えば「現金」や「宝石」は誰かに奪われたりしたらそれで終わりです。しかし、自分の中に吸収した知識・理解・技術は誰にも奪うことはできません。私達の中に一生根付く貴重な財産です。そして、その知性を必死に磨き続け、多くの人を救っていくのが我々医療人の生業なのではないでしょうか。

留年すれば、学費はいくらかかるでしょうか、国家試験おちれば、予備校通うのに1年間200万かかります。知識に値段を付けることはできませんが、多少本を買って効率的に勉強でき、正しいイメージを築き上げていけるのであれば、その方が安上がりだと考えます。

勉強は、時間もお金も労力も、最小限で終わらせたいです。どのような形があなたにとって、もっとも効率的となるのか今一度、改めて試してみるとよいかもしれません。「勉強の仕方の勉強」ともいうべきか。

最後は異様なテンションになってしまいましたが、今回は以上です。(ステマ記事みたいになってしまいましたが、お金は一銭ももらってません!正直なこの本への愛をつづっただけです…)

 

 

【生理学】おすすめの参考書 

1.人体の正常構造と機能 ★★★★★★★

本当にすごい本だと思います。解剖、組織、生理、生化の各分野を横断して、人体の仕組みをわかりやすく解説してあります。基礎系で、つまずいたときにはまずこの本を開いています。 

最新の第三版では、なんと同じ価格で電子書籍もついてくる!という超オトクな特典がついています。これはもう買うしかないですね。電子書籍ならスマホやタブレットで文字検索して一発で見たいページに飛べますからね。もうほんと最強だと思います。 

特に「絵」と「図」が秀逸で、イメージしにくいところをかなりわかりやすくシンプルな表現をしています。本当にこの本がなかったら、分野別でバラバラのままだった知識が沢山あり、その多くがこの本を読むことでまとめあげられました。 シンプルな言葉と絵で構成されているので、わかりやすい分、足りないところがありますが、まずはこれで大きな流れをつかむことが、非常に重要です。その後細かいところ、肉付けしていくのが効率的です。

基礎で言うなら、この本と「Essential細胞生物学」が2大名著だと思います。2万弱で少し買うのに躊躇しますが、マストバイ!のおすすめの一冊です!

 

2.トートラ人体の構造と機能 ★★☆

上で紹介した「人体の正常構造と機能」と系統は似ていますが、こちらも解剖、組織、生理、生化など、統合的に理解していくのに役立ちます。やはり絵が綺麗で、シンプルでわかりやすい。同じことを2冊の本でみると理解がより立体的になってきます。外国語を2つぐらい習うと日本語の特徴がよりわかってくるのと類比的というか。図書館などにあれば、ぜひパラパラめくってみましょう。なるほど、そういうことだったのか、という頷きをできるだけ多く得ましょう。そしてそれらのページを後でフィードバックできるようにまとめていくのです。

 

3.基礎歯科生理学 医歯薬出版 ★☆☆

口腔生理学の教科書がいいのがありません。泣。おそらく多くの人が教科書として買わされていると思います。国家試験は医歯薬出版のシリーズがバイブルで、これにのっていることから出題されるので、知らないことがでてきたら一度はそこのところをこの本で読んでみることをおすすめします!全然、読んでて勉強なるので良いのですが、もっとわかりやすく、いい本ができるとよいなーと思います。

シグナル伝達と受容体

シグナル伝達と受容体

シグナル伝達のカスケードの種類とそれを開始する受容体との組み合わせは本当に面倒です。時々国家試験でも問われるのでここはゴロや簡単なイメージで乗り切りたいところです。

面倒なのはGタンパク共役型の受容体が種類多く、アドレナリン系の受容体、ムスカリン系の受容体と組み合わせが複雑に絡み合っています。以下のように整理して覚えましょう。

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「AC,cAMP系は全てベタ」
1|Gs→AC(アデニル酸シクラーゼ)→cAMP→PKA
  • β1〜3(アドレナリンβ1〜3受容体)
「MAMAにっこり抑制」
2|Gi→Gk、ACの抑制
  • α2(アドレナリンα2受容体)
  • M2(ムスカリン性アセチルコリン受容体)
「MAMA奇数にQuestion?」
3|Gq→PLC→IP3+DG、PKC
  • α1(アドレナリンα1受容体)
  • M1,3,5(ムスカリン性アセチルコリン受容体)
 ※GkタンパクはM2のみでα2はないので、注意しましょう。

科目を横断しての理解が大切

ゴロとは関係ないのですが、このカスケードでPLCが分解するPIP2が細胞膜のリン脂質の腕をちょん切って、その部品をシグナル伝達に使っている、というのは面白くて本当に好きなところです。シグナル伝達に必要な物質をDNAから合成するのでなく、自分の膜の物質を切って使うってなんかアジア的というか人間らしい感じがして好きです。同じようなことがアラキドン酸カスケードでもでてきますよね。炎症の要のサイトカインPGE2の元々の材料を辿っていくと細胞膜のリン脂質で、それがPLA2(ホスホリパーゼA2)というPLCの親戚のような酵素が担っている。このあたりのつながりを自分で紐解いていくのが基礎系の勉強の重要なポイントというか、生理、生化学、薬理を横にダイナミックにつなげていけて知識がより強固なものになり無味乾燥なものから論理的に組み上がっていって強度がでてくるあたりだと思います。
Gタンパク

おすすめの参考書

【基礎系最強】

人体の正常構造と機能 ★★★★★★★

本当にすごい本だと思います。解剖、組織、生理、生化の各分野を横断して、人体の仕組みをわかりやすく解説してあります。基礎系で、躓いたときにはまずこの本を開いています。

最新の第三版では、同じ価格で電子書籍もついてくる!という超オトクな特典がついています。これはもう買うしかないですね。電子書籍ならスマホやタブレットで文字検索して一発で見たいページに飛べますからね。もう参考書としては最強だと思います。

特に「絵」と「図」が秀逸で、イメージしにくいところをかなりわかりやすくシンプルな表現をしています。本当にこの本がなかったら、分野別でバラバラのままだった知識が沢山あり、その多くがこの本を読むことでまとめあげられました。

シンプルな言葉と絵で構成されているので、わかりやすい分、足りないところがありますが、まずはこれで大きな流れをつかむことが、非常に重要です。その後細かいところ、肉付けしていくのが効率的です。

基礎で言うなら、この本と「Essential細胞生物学」が2大名著だと思います。2万弱で少し買うのに躊躇しますが、マストバイ!のおすすめの一冊です!一度図書館で確認してみてください!

【薬理学】

ハーバード大学講義テキスト 臨床薬理学 ★★★★

この本がなければ複雑な薬理学を整理して理解することは不可能だったと思います。今回の図もこの参考書のものを参考にシンプルにまとめたものです。イラストがわかりやすくシンプルで薬や受容体との関係など直感的に掴めますし、文章・翻訳も自然な翻訳でぐいぐい読み進められます。アセチルコリン受容体とコリンエステラーゼやアドレナリン受容体など歯科でも必須のところをかなりわかりやすく説明されています。 ハーバード大学の医学生たちがまとめたものが元になっているようです。臨床的な応用の話から、薬理の細かい機序まで超絶わかりやすい図と説明で一気に解説されています。 僕はこれの第二版を持っていますが、それでも十分すぎる内容でした。最新のものはフルカラーになったということで、早速新しい物も頃合いを見計って手に入れたいと思っています。

抗菌薬、抗真菌薬の覚え方、まとめ

抗菌薬で、βラクタム系(ペニシリン系、セフェム系)やテトラサイクリン系などは名前がわかりやすいので、よいのですが、アミノグリコシド系やマクロライド系はわかりずらいですよね。今回は抗菌薬、抗真菌薬まわりのゴロを紹介します。

アミノグリコシド系のゴロ
「阿見のストーカー=源太、カナちゃんに振られ、難聴に」

  • アミノグリコシド系
  • ストレプトマイシン
  • ゲンタマイシン
  • カナマイシン
  • フラジオマイシン
  • 第八脳神経障害

※ニューキノロン系とともに濃度依存性の抗菌薬です
※バンコマイシンも難聴おこす。
※フロセミドとの併用で、第八脳神経障害=難聴などが増悪する
※βラクタム系はアミノグリコシド系と併用で相乗効果(^o^)めっちゃ効くようになる
※麻酔薬や筋弛緩薬と併用で神経筋ブロック=呼吸筋麻痺

マクロライド系
「まっ黒くろの襟の女子、味がある」

  • マクロライド系
  • クラリスロマイシン(ピロリ菌に有効)
  • エリスロマイシン 
  • ジョサマイシン 
  • アジスロマイシン

※副作用の少ないことで有名です。
※シトクロムP450の酵素阻害を起こします。

クロラムフェニコールの副作用のゴロ
「グレた不良の再生には苦労する」

  • グレイ症候群(新生児で赤血球が作れなくなり灰色になる)
  • 再生不良性貧血 
  • クロラムフェニコール

抗真菌薬のゴロ
「ミカのアナにトリコ。フルチンでナゾール」

  •  ミカファンギン(βグルカン=細胞壁、合成阻害)
  •  アムホテリシンB(ポリエン系、細胞膜を破壊) 
  • ナイスタチン(ポリエン系、細胞膜を破壊) 
  • トリコマイシン(ポリエン系、細胞膜を破壊) 
  • フルシトシン(DNA合成阻害) 
  • アゾール系=ミコナゾール、フルコナゾール(エルゴステロール=細胞膜、合成阻害)

※真菌のコレステロール=エルゴステロール

 

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リドカインは、すごく、よくできてる薬だ!

109回歯科医師国家試験で、リドカインの作用に関する少しマニアックな問題が出ました。自分で解いてみて見事に間違ってしまったのですが、確かに3年次のときに習ったよなーと、図も書いた覚えがあるのに、、、ベーシックなところを再度おさらいしましょう。

109C-129
リドカイン塩酸塩(イオン型⇄非イオン型)の作用機序の模式図を別に示す。
正しいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

正答 ア

 

 

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抗真菌薬のゴロ(下品ですいません…)

 

抗真菌薬のゴロ
「ミカのアナにトリコ。フルチンでナゾール」

  1. ミカファンギン(βグルカン=細胞壁、合成阻害)
  2. アムホテリシンB(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  3. ナイスタチン(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  4. トリコマイシン(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  5. フルシトシン(DNA合成阻害)
  6. アゾール系=ミコナゾール、フルコナゾール(エルゴステロール=細胞膜、合成阻害)

 

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MAC値のゴロ

MAC値のゴロをまとめました。

ハロタン:0.75%
ハロー!タンポン、オナゴの日
笑気:105%
東郷は笑わない
セボフルラン:1.71%
お歳暮は、フルラン、以内
イソフルラン:1.15%
磯野カツオはいい子
デスフルラン:6%
無理です

プロドラッグのまとめ

プロドラッグとは
投与された形では薬理効果を持たないが、肝臓の初回通過効果で一度代謝された後に活性型になり薬効を持つようになるものです。
プロドラッグというとロキソニン=胃腸障害防止!と短絡的に繋がりすぎて、つい他のものを忘れてしまいます。
ここで歯科医師国家試験出題基準にあるプロドラッグを目的別にまとめておきます。
目的がそれぞれ違うので、それをきちんとおさえておきましょう。

1|NSAIDs|胃腸障害を防ぐ目的

NSAIDsがpHの関係で、胃上皮内に留まり、COX-1(胃粘膜保護のPGE2の合成)を阻害するから。一度吸収されて、代謝された後に、薬効を示すように薬物に飾りを付けておく。

  • ロキソプロフェンナトリウム
  • アセメタシン(←インドメタシン)
  • アンピロキシカム(←ピロキシカム)
  • スリンタグ
  • フェンブフェン

 

2|抗菌薬|腸管内で吸収しやすくする目的

水溶性が高すぎて、腸管で吸収されづらいので、疎水性にして吸収しやすくする。
特にβラクタム系は腎排泄が多く、むしろ膀胱の菌を殺すのにいいぐらい。

  • バカンピシリン=疎水性(←アンピシリン=水溶性)
  • アモキシシリン=疎水性(←アンピシリン=水溶性)

 

3|抗腫瘍薬作用時間の延長・持続化する目的

  • 5-FUの半減期:10分
  • テガフールの半減期:7.5時間

ちなみに5-FUはDNAの構成要素のウラシルの偽物です。ちょうどビタミンKの偽物がワルファリンで、それを使って、騙していたように、がん細胞がウラシルを使おうとするところに偽物の5-FUを出すことで、増殖を阻害するという目論見です。頭頸部のガンによく使われており、特に「テガフールギメラシル(5-FU代謝阻害)+オテラシル(副作用軽減)」の3剤混合した「TS-1」はよく臨床でも使われています。

4|パーキンソン病治療薬|特定の臓器で作用させる目的

  • ドパミン:血液脳関門(BBB)を通過できない。
  • レボドパ:血液脳関門(BBB)を通過できる。

脳内でレボドパからドパミンに代謝されて薬効を示す!

抗菌薬の種類|濃度依存性、時間依存性

濃度依存_時間依存_抗菌薬

今回はこの問題です。

105C-42
濃度依存性抗菌薬はどれか。2つ選べ。
a セフェム系
b カルバペネム系
c ニューキノロン系
d グリコペプチド系
e アミノグリコシド系

正答 c, e

これは以下の図の様に考えるとすごくわかりやすいです。

濃度依存_時間依存_抗菌薬

濃度依存_時間依存_抗菌薬

 

 

「の」依存性=濃度依存性

なんてすばらしい覚え方なんでしょう。一瞬でこれの問題を解くことができるようになります。PK/PD理論は、AUCとかMICとかきちんとやっていくとわかるけど、結局覚えるしかないじゃん!みたいなところに行き着いてしまいました。割りきって簡単な覚え方を紹介しますね。

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多剤耐性菌の順番、歴史

多剤耐性菌の機序、よく聞かれますよね。
超有名なMRSA、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をめぐる耐性獲得の歴史をおいます。

1.普通の黄色ブドウ球菌(ペニシリンを投与するとPBP(=細胞壁作るための酵素)が無効になり、細胞壁が作れない)

2.ペニシリン耐性 黄色ブドウ球菌(菌がペニシリナーゼを産生して、ペニシリンを分解。PBPで壁作れる)

3.メチシリン耐性 黄色ブドウ球菌|MRSA(PBP2’を産生して抗菌薬お手上げ。PBP2”で壁作れる)

4.バンコマイシン耐性 黄色ブドウ球菌(MRSAの特効薬だったバンコマイシンにも耐性菌ができてしまった!!)

現在は、4のバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌が局所的にでているだけですので、世界的に普及しておらずなんとかなっているらしいです。もし4が一般化した場合、人類はまた次に抗菌薬を見つけ出さなければなりません。そしてそれも濫用により、すぐ耐性菌ができてしまうでしょう。

  • 低世代の抗菌薬を使う(第三世代、第四世代セフェムとか、すぐ出すな!)
  • 狭いスペクトル(選択毒性の高い)抗菌薬を使う
  • 感受性試験の結果に基いて用いる。
  • 初回使用はまず3日。長くとも1週間以内にとどめる。

現実的には上記を完全に守るのは、難しいんですが、一応理想的な使い方は知っておく必要があります。

この他に有名な多剤耐性菌としては緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)がいます。
これは、薬物を菌体外に排出するトランスポーターをつくることで、抗菌薬に対する耐性をつけます

分布における薬物相互作用

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前回が血漿タンパクについての話だったので、それに関連して、今回は血漿タンパクが関わる薬物相互作用についてです。
薬物相互作用は、薬物動態のそれぞれの過程、つまり、「吸収」「分布」「代謝」「排出」で分けて考えるとわかりやすいです。

今回はその内の「分布」に関するもの。
血中のクロネコヤマトである、血漿タンパク=主にアルブミンが、加齢に伴い少なくなっていきます。荷物=薬物を同じ量だけ飲んでいると、アルブミンをめぐって、競合が発生し、アルブミンと結合できなくなった薬は、そのまま効果を発揮してしまうので、単体で飲んだ場合よりもすごく効きすぎてしまって困ったことが起きてしまします。

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薬物相互作用に関わる血漿タンパク

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アルブミンはクロネコヤマト宅急便

薬物相互作用の問題です。薬は血中を移動する時、ほぼほぼ個人では移動できません。
血漿中のタンパク質を乗り物として使って移動します。「アルブミン」はいわば、
血液の中のクロネコヤマトなのです。
アルブミン自体は塩基性で、ワルファリンなど酸性のお薬と結合し、運びます。
また、酸性の乗り物の代表に「α-1酸性糖タンパク質」があります。
これは、リドカインなど塩基性の薬物と結合し、これらを運びます。
酸性薬物の乗り物は、「アルブミン=塩基性」。
塩基性薬物の乗り物は「α1酸性糖タンパク質=酸性」です。

ちなみにアルブミンの正常値は4-5g/dlというのも覚えるべき項目です。