発生はまず、内胚葉がベースになる。「人体は、パイプである」って、すごい面白い表現があって。考えると本当に、口から肛門まで、つまり消化から排泄までのパイプで中空なんです。パイプがいわゆる「内臓系」で、パイプの中は人体の「外」とされています。口から食物をいれて、消化し、エネルギーを得、その搾りかすを排泄する。原始的な生物の形態はそこからはじまります。パイプだけでは、食べ物が来るのをずっと待っているしかないので、ここでさらに次の段階があるわけです。
次に進化するのは、
そのパイプについた手足などの、中胚葉です。筋肉と骨を中心とする中胚葉でもって、食物を外の世界から何とかして自分の口にもってくる。運動には栄養を効率的に回すことが必要ですから、血管系も中胚葉ということになります。運動して、食物を「取りに行く」ことは、筋肉と骨によってできるようになりました。
その次が、「外胚葉」です。皮膚と脳が主要な要素ですが、脳から派生する「目」や「神経系」ももちろん外胚葉です。複雑な動きをコントロールしたり、そもそもどうやったら効率的に食物を手に入れられるかなど思考もできるようになった。眼、耳、鼻や皮膚などから入る外界の情報を感覚し、脳にもっていって分析し、適切に行動を決定していく。まさに中枢の要です。
「神経堤」という第四の胚葉もありますが、これは、高度に発達した「外胚葉」を補助的にあとから補うような形で体中に散らばっていきます。末梢神経のシュワン細胞だったり、もともと神経の中継点であった副腎髄質(アドレナリンなど分泌)など要所要所に配置されていきます。脳が接する頭蓋の一部の骨や軟骨も神経堤で作られます。それらは、骨化の方法が「膜内骨化」です。中胚葉由来の骨は「軟骨内骨化」します。
歯科医師国家試験的には以下の構造の由来は覚えておきましょう。
内胚葉
胃腸管、気道、膀胱、尿道上皮、
鼓室、耳管上皮、
甲状腺、上皮小体、肝臓、膵臓の実質、
顎下腺、舌下腺
中胚葉
筋肉、骨、
結合組織、心臓、血管、リンパ系
腎臓・生殖腺の導管(膀胱をのぞく)
脾臓、副腎皮質
外胚葉
中枢神経系、末梢神経系、眼、耳、鼻
皮膚、汗腺、乳腺、下垂体、エナメル芽細胞、
耳下腺
神経堤
象牙芽細胞、セメント芽細胞、
シュワン細胞、脳神経節、交感神経幹
副腎髄質、甲状腺C細胞、
メラノサイト
内は異様の説明で気道が軌道になってますよ。
修正しました。誤字、申し訳ありませんでした。ご指摘ありがとうございます!