今日はこの問題です。
102A-118
全部床義歯における頬舌的な臼歯部排列位置の基準はどれか。2つ選べ。
a アーライン
b 歯槽頂間線
c パウンドライン
d 上下顎堤の平行性
e レトロモラーパッドの高さ正答 b, c
正答はb,c です。
c パウンドライン
「下顎犬歯の近心」と「レトロモラーパッド舌側縁」を結んだ線。これより内側に人工歯がならぶと、舌を噛んでしまうなど不具合が出やすいので、パウンドラインよりは外に人工歯を並べる!というもの。
b 歯槽頂間線
「臼歯部の歯軸」を「歯槽頂間線」にあわせるのが良いとされています。咬合平面と歯槽頂間の角は80度が天然歯で一般的な状態です。もし70度以下になると、「交差咬合」として、上下の被蓋を逆にする必要があります。つまり、上顎が舌側に、下顎が頬側になる感じに並べます。歯槽頂間線は
- 臼歯部の頬舌位置
- 交叉咬合の判断
に使われるものです。下で示すイラストをみるとイメージしやすいです。参考にして覚えておきましょう。
e レトロモラーパッドの高さ
これは臼歯の頬舌位置ではなく、「仮想咬合平面」の設定にしようするものです。レトロモラーパッドを使って、位置を決めるものがたくさんあります。ここで、まとめておきましょう。
「レトロモラーパッドで決まるもの」
- パウンドライン:「下顎犬歯の近心」と「レトロモラーパッド舌側縁」を結んだ線。パウンドラインより頬側に人工歯を並べる
- 臼歯部の配列:「下顎犬歯の尖頭」と「レトロモラーパッドの尖端」を結ぶ線に「人工歯の中心窩」を一致させる
- 臼歯部人工歯の大きさ:「3遠心」から「レトロモラーパッドの前縁」までに入るような大きさの臼歯サイズを選ぶ
- 仮想咬合平面の高さ:レトロモラーパッドの高さ1/2、舌の高さとも一致させる
- 義歯床後縁:レトロモラーパッドの1/2以上を覆う
【全部床義歯】「図説無歯顎補綴学―理論から装着後の問題解決まで」 ★★★
麻布の実践で、解説のところに図が書いてあることがありますが、殆どはこの本からの引用です。麻布のは白黒しかなく図は小さく、説明分も断片的で知識がまとめていけません。実際の書籍中でßはカラーで、体系的な説明も載っているので非常にわかりやすいです。有床義歯が苦手な人はこの本を買って、実際にイラストと本文をよんでみることをおすすめします。ぱっ!っとイメージがわいて理解が早いです。
↑「Pl」はパウンドライン、「Pm」はレトロモラーパッド中央と犬歯尖頭を結んだ線。人工歯並べるときには、作業模型上にこれらの線をひいて参考にしながらならべます。
アングル2級、3級のときの前歯の並べ方の説明も秀逸!
加齢による顎堤の吸収で、反対咬合になっていきます
このあたりの説明も下の図のように、一目瞭然にしめしてくれます。この図をみて、顎堤が吸収していくにしたがって、反対咬合になっていくんだなーというのがイメージできます。
【部分床義歯】「スタンダード部分床義歯補綴学」学建書院 ★★★
そしてなんと同じ出版社から部分症義歯ver.も発売されています。名前がガラッとかわってしまってわかりづらいのですが、下の本も、学建書院の本です。全部床のものと同様にわかりやすいイラストと泣ける解説で本当に脇をかためてくれる一冊です。特に、重合の説明とか、「アメリカ、フランス、折衷法」の違いについて、これ以上わかりやすくはかけないんじゃないかなというぐらい、よいかんじです。是非チェックしてみて下さい。その他のところも図解力が半端ないです。イメージがつかみやすいです。