脱臼の治療 —「顎関節制動術」とは?
顎関節は「炎症」や「骨折」や「顎関節症」や「脱臼」それぞれきちんとまとめずにごっちゃになりがちです。今回は脱臼の治療についてまとめました。特に外科的な処置は、稀ですが、試験では問われやすいのでしっかりとイメージと言葉をリンクさせておきましょう。「制動術」=「動きを制する術」みたいな、ところがポイントです。
1)保存的治療=徒手的整復術
- ピポクラテス法(対面で前から脱臼を戻す。”H”は正常位が基本、と覚える)
- ボルヘス法(後ろから脱臼を戻す。Backの”B”と覚える。)
2)外科手術
- 顎関節制動術(関節結節を盛り上げて、前にずれないようにする=動きを制限する術)
- 関節結節削除術(関節結節をなくして、戻しやすくする。外れやすくもなる)
108回ではこれが問われていましたね。以下の問題です。
108 D-44
77歳の女性。閉口できないことを主訴として来院した。昨夜の夕食から食べに くくなると共に、耳前部に疼痛が出現したという。以前から数回同じ症状を繰り返 しているという。初診時のエックス線写真(別冊 No. 44A)と治療のために行う手術 の模式図(別冊 No. 44B)を別に示す。
本術式の目的はどれか。 1 つ選べ。a 上関節腔の開放
b 関節結節の平坦化
c 関節周囲組織の瘢痕化
d 下顎頭の前方滑走の制限
e 関節円板の前方転位の防止
正答 d
この処置の名前が「顎関節制動術」です。最近(現在2016)、口腔外科学会では、習慣性の顎関節脱臼が施設で多くおきているらしく戻すのが大変で、「顎関節削除術」の症例発表が多く、よくられているみたいです。次回は「顎関節削除術」が出題されるかもしれませんね。