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分布における薬物相互作用

前回が血漿タンパクについての話だったので、それに関連して、今回は血漿タンパクが関わる薬物相互作用についてです。
薬物相互作用は、薬物動態のそれぞれの過程、つまり、「吸収」「分布」「代謝」「排出」で分けて考えるとわかりやすいです。

今回はその内の「分布」に関するもの。
血中のクロネコヤマトである、血漿タンパク=主にアルブミンが、加齢に伴い少なくなっていきます。荷物=薬物を同じ量だけ飲んでいると、アルブミンをめぐって、競合が発生し、アルブミンと結合できなくなった薬は、そのまま効果を発揮してしまうので、単体で飲んだ場合よりもすごく効きすぎてしまって困ったことが起きてしまします。

 

薬の中でも、できるだけアルブミンと結合したがる性質を持っているものがあるのですが、特にこれらの薬を併用してしまうと、アルブミンをめぐって骨肉の争いが起き、結合できなかった薬たちが体内で効果を発揮しまくってしまいます。タンパク結合率という指標で表します。ワルファリン(クマリン)は特にタンパク結合率=99%という強者です。

 

具体的には、老人が、血液サラサラにする薬、ワルファリン(クマリン)と、糖尿病ので血糖を下げるお薬、トルブタミドを通常量を一緒に飲むと、アルブミンをめぐる椅子取りゲームの結果、大量の遊離型のワルファリン、トルブタミドが体内で効果発現し、血が止まらなくなりあちこちで内出血起こしたり、低血糖になり意識失くなったりします。危険ですよね。歯科の国家試験でも最低限の薬の組み合わせを問われます。

 

 

ゴロで覚えましょう。

 

(三つどもえ、っていってるのに、図が四つどもえになっていてすいません…)

 

「クマ、ブタ、サル、の三つどもえ、明日ある」

 

クマリン(ワルファリンのこと)、トルブタミド(SU|スルホニルウレア薬、糖尿病のお薬)、サルファ剤(抗菌薬|葉酸合成阻害)、アスピリン(NSAIDs全ても含む)、アルブミンをめぐって争い」

 

この辺りで、サルファ剤はじめ抗菌薬の機序だったり、ワルファリンとビタミンKと関係だったりを思い起こせるとよいですね。

takao11sep: