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シグナル伝達と受容体

シグナル伝達と受容体

シグナル伝達のカスケードの種類とそれを開始する受容体との組み合わせは本当に面倒です。時々国家試験でも問われるのでここはゴロや簡単なイメージで乗り切りたいところです。

面倒なのはGタンパク共役型の受容体が種類多く、アドレナリン系の受容体、ムスカリン系の受容体と組み合わせが複雑に絡み合っています。以下のように整理して覚えましょう。

 
「AC,cAMP系は全てベタ」
1|Gs→AC(アデニル酸シクラーゼ)→cAMP→PKA
  • β1〜3(アドレナリンβ1〜3受容体)
「MAMAにっこり抑制」
2|Gi→Gk、ACの抑制
  • α2(アドレナリンα2受容体)
  • M2(ムスカリン性アセチルコリン受容体)
「MAMA奇数にQuestion?」
3|Gq→PLC→IP3+DG、PKC
  • α1(アドレナリンα1受容体)
  • M1,3,5(ムスカリン性アセチルコリン受容体)
 ※GkタンパクはM2のみでα2はないので、注意しましょう。

科目を横断しての理解が大切

ゴロとは関係ないのですが、このカスケードでPLCが分解するPIP2が細胞膜のリン脂質の腕をちょん切って、その部品をシグナル伝達に使っている、というのは面白くて本当に好きなところです。シグナル伝達に必要な物質をDNAから合成するのでなく、自分の膜の物質を切って使うってなんかアジア的というか人間らしい感じがして好きです。同じようなことがアラキドン酸カスケードでもでてきますよね。炎症の要のサイトカインPGE2の元々の材料を辿っていくと細胞膜のリン脂質で、それがPLA2(ホスホリパーゼA2)というPLCの親戚のような酵素が担っている。このあたりのつながりを自分で紐解いていくのが基礎系の勉強の重要なポイントというか、生理、生化学、薬理を横にダイナミックにつなげていけて知識がより強固なものになり無味乾燥なものから論理的に組み上がっていって強度がでてくるあたりだと思います。

おすすめの参考書

【基礎系最強】

人体の正常構造と機能 ★★★★★★★

本当にすごい本だと思います。解剖、組織、生理、生化の各分野を横断して、人体の仕組みをわかりやすく解説してあります。基礎系で、躓いたときにはまずこの本を開いています。

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特に「絵」と「図」が秀逸で、イメージしにくいところをかなりわかりやすくシンプルな表現をしています。本当にこの本がなかったら、分野別でバラバラのままだった知識が沢山あり、その多くがこの本を読むことでまとめあげられました。

シンプルな言葉と絵で構成されているので、わかりやすい分、足りないところがありますが、まずはこれで大きな流れをつかむことが、非常に重要です。その後細かいところ、肉付けしていくのが効率的です。

基礎で言うなら、この本と「Essential細胞生物学」が2大名著だと思います。2万弱で少し買うのに躊躇しますが、マストバイ!のおすすめの一冊です!一度図書館で確認してみてください!

【薬理学】

ハーバード大学講義テキスト 臨床薬理学 ★★★★

この本がなければ複雑な薬理学を整理して理解することは不可能だったと思います。今回の図もこの参考書のものを参考にシンプルにまとめたものです。イラストがわかりやすくシンプルで薬や受容体との関係など直感的に掴めますし、文章・翻訳も自然な翻訳でぐいぐい読み進められます。アセチルコリン受容体とコリンエステラーゼやアドレナリン受容体など歯科でも必須のところをかなりわかりやすく説明されています。 ハーバード大学の医学生たちがまとめたものが元になっているようです。臨床的な応用の話から、薬理の細かい機序まで超絶わかりやすい図と説明で一気に解説されています。 僕はこれの第二版を持っていますが、それでも十分すぎる内容でした。最新のものはフルカラーになったということで、早速新しい物も頃合いを見計って手に入れたいと思っています。

takao11sep: