検査基準値の性差について考えたいと思います。109回の歯科医師国家試験でこのような問題がでました。
109-A121
成人の血液検査で基準値に性差がないのはどれか。 1つ選べ。a 血清鉄
b 赤血球
c 白血球
d ヘモグロビン
e 血清クレアチニン
解答 c
以下のようにまとめると覚えやすいかもしれません。
性差のあるもの
1)男>女の検査値→「赤血球系」と「筋肉」が男が勝る
- 赤血球系←エリスロポエチンの分泌量が女性は少ない
- 鉄←赤血球の中には鉄が入っているが、赤血球が少なければ鉄も少なくなる。女性は貧血になりやすい。
- クレアチニン←筋肉での代謝産物。筋肉量は男が多いので、性差がでる
2)女>男の検査値→「脂肪系」と「赤沈」
- HDLコレステロール←脂肪は女性のほうが多いですからね
- 赤沈←「ニート最高!」男:2〜10、女3~15
性差のないもの
- 白血球系(血小板も含む)←白血球は外敵との接触によって増殖したり減少しています。なので、性差はあまりありません。年齢ではすごく変化するけど。(スキャモンの曲線:免疫系は小学生で200%)
男女の赤血球の数の差は赤血球の産生を促進するホルモンであるエリスロポイエチンの分泌量に差があるからと言われています。男性の方が女性より筋肉の量は明らかに多いのでより多くの血液を必要とする感じでしょうか。加えて、月経よる出血などもあり、平均するとやはり鉄を含めた、赤血球系のものは女性が少ない値を示して性差がでてきます。
一方、白血球と血小板の産生にはホルモンは関与していません。白血球は体内に細菌やウィルスが入ってきたことがトリガーとなって増殖するので体調の影響の方が大きいでしょう。血小板はつねに一定量、産生されます。止血のための細胞ですので男女により差がある必要はないのでしょう。