今回はこの問題です
103A-69
味覚で正しいのはどれか。2つ選べ。
a 軟口蓋に味蓄は存在しない。
b 舌下神経は味覚情報を伝える。
c 味細胞の寿命は約1か月である。
d 認知閾値は塩酸よりも食塩の方が高い。
e グルタミン酸ナトリウムは味細胞に受容器電位を引き起こす。
正答d,e
Aで軟口蓋に味蕾は存在します。喉頭と咽頭にも味蕾がいて、味覚があります。あとで詳しく説明します。
Bでは、舌神経は、下の図のとおり、舌の運動神経なので、違います。
Cで舌神経の寿命は結構短いです。10日程度とされているので、こちらも違います。ちなみに、血小板の寿命も10日程度でしたね。
Dの「認知閾値」とは「鋭さ」です。やばいものを口に含んで、ほんの少量でも検出できた人類のほうが生き残ることができました。逆にそれが鈍くたくさんやばいものを食べてしまうような人は死んでいき淘汰されていきます。よって、死に繋がりそうなものを敏感に検出できる!という法則が仮定できます。(本当にそうかわかりませんが、、、)
味覚が鋭い順に書くと、
- 苦味:にがい!まずそう。。。
- 酸味:すっぱい!腐ってる?
- 塩味:塩味おいしー!
- 甘み:砂糖はいくらでも食べれます
軟口蓋と喉頭にも味覚がある!
- 軟口蓋=大錐体神経(Ⅶ|顔面神経)
- 喉頭・咽頭=迷走神経(Ⅹ)
大錐体神経は、涙腺、口蓋腺、鼻腔腺の分泌、軟口蓋の味覚!と非常に沢山の役割があります。似た名前で小錐体神経、深錐体神経もありますが、こちらは役割はそれぞれほんの少しです。大錐体神経な大きい!からいろいろ役割がある!と覚えておきましょう。以下のようなまとめもこの際に確認しておきたいところです。
- 大錐体神経:涙腺、口蓋腺、鼻腔腺の分泌、軟口蓋の味覚!(大きいから多く役割もっている、と覚える)
- 小錐体神経:耳下腺の分泌(小さいから1つの分泌専門、と覚える)
【走行】
- 大錐体神経→破裂孔→翼突管
- 蝶錐体裂(脳頭蓋底へ出る)→小錐体神経→卵円孔→耳神経節
- 鼓索神経←錐体鼓室裂(側頭下窩から骨の中に入っていく)
神経の走行で、破裂孔、蝶錐体裂、錐体鼓室裂、など似た名前の孔がここらへんで 入り混じってます。気合い入れてまとめて、国試前にまたすぐ見直せるようにしておきましょう。この辺は何度やっても忘れてしまうところです。。。
花粉症のリーサルウェポン=翼突管神経の切断!
花粉症がひどい人で、涙も鼻汁も止まらない人に対して、薬などでどうしようもない時「翼突管神経」を切断します。涙、鼻水などの分泌の神経をまとめて切ってしまうので、どんなにアレルゲンにより分泌の命令がでても鼻水はでずに鼻閉が起きにくくなります。
頭頸部の解剖のイメージをしっかりつくれる本
ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス
ちなみに、このあたり「翼口蓋窩」には重要な神経があちこちから入っては出ていきます。頭の中をしっかりまとめたいのであれば、上記の本「ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス」を使うと良いでしょう。一部紹介しますが、このような神がった翼口蓋窩のまとめが載っています。どれだけ翼口蓋窩が複雑なジャンクションなのかお分かりいただけると思います。
また、翼突管神経って、交感神経も副交感神経も味覚などの神経もいろいろ混じって入っています。大錐体神経と深錐体神経の関係とかちょっとごちゃごちゃしそうですが、そのあたりの走行も見事にネッターさんが描ききってくれているので、しっかり頭頸部の解剖を勉強したい人は、この本はマストバイです!
深錐体神経が、錐体の中、深いところを通っているのがわかります。また大錐体神経は堂々と、錐体の上を進んでいくあたり、の陰と陽の対象的な感じもイメージできると忘れづらくなります。
頭頸部の解剖|おすすめの参考書
ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス ★★★
頭頸部の解剖については、この本が一番詳しくて、不足なく書かれている気がします。ちょっとややこしい、翼口蓋窩の神経とか、喉頭や嚥下のあたりも詳しく動きがイメージできるようになっています。
この軟口蓋の形の変化をみよ!
下の絵は、ネッター本にのっている嚥下の解説のイラストです。上から順に嚥下の様子が、段階別に描かれています。軟口蓋が、押し付けられてすごい形変わっている様子がわかります!鼻咽腔閉鎖機能不全とか、結構状態としてやばいんだなーって肌感覚で理解できるようなると思います。
ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス を一部改変
頭のなかに正しい人体のイメージをもつことが重要
こういう食物が通るイメージをもっておけると、新しい問題がでたときでも、頭のなかで考えて答えが導き出せるというか、その頭のイメージがあることで、変な選択肢を選ばないようにできます。
今回は以上です。