今回はこの問題です。
104D-37
27歳の男性。上顎左側臼歯部の痛みを主訴として来院した。一過性の冷水痛を認める。左下5にコンポジットレジン修復を行うこととした。初診時の口腔内写真と罹患歯質除去後の口腔内写真撮を別に示す。次に行うのはどれか。1つ選べ。
a 歯間離開
b 接着操作
c 裂溝の形成
d 隣接面の予防拡大
e マトリックスの挿入
正答 e
隔壁の作る順序
歯間離開とマトリックスどちらが先か…写真Bでう蝕の除去をしているので、次はCR充填していきます。隣接面のところにも充填するので、隔壁を作らないといけません。歯間離開とマトリックスの挿入、どちらもやるはずですが、その順番はどちらが先になるでしょうか。
充填時の隔壁の手順:マトリックスが先
- マトリックスの挿入
- 歯間離開(ウェッジやリング型リテーナー)
充填時の隔壁は上記の順番になります。なぜでしょうか?実際に自分でやってみるとわかるのですが、ウェッジやリング型リテーナーは歯を強く押すことで歯と歯の間をあけます。よって、ウェッジをいれたままだと、マトリックスをいれることができません。なので、まずは、マトリックスを先に入れて、それを固定するとともに、歯間離開もするために、ウェッジやリング型リテーナーをいれます。このあたりは実際の作業をやってみると当たり前のことなのですが、机の上で問題を解いているだけだとわかりづらいです。 しかもこれらの一連の作業は非常に細かい部分なので臨床実習で見ていたとしても注意深く意識を向けていないと見逃してしまいそうなところです。
残念ながら、この類の問題を勉強するには、国家試験の過去問を解いて、1度間違い、それから教科書などをもう一度詳しく読んでいくというようなやり方でしか身につけることができないと思います。
今回は以上になります。
【保存修復学】のお薦め参考書
1.保存修復学21 ★★★
「医歯薬出版の保存修復学」と上の「保存修復学21」が2大巨塔ですが、僕は上にもリンク貼ってる「保存修復学21」をおすすめします。理由は写真が大きいからです。あとは診断や手技などのまとめからも21のシリーズのほうが、読んでいてわかりやすいです。「医歯薬出版の保存修復学」は網羅的に書いてありますが、写真や図が小さく文章で理解する割合がより多い印象を受けます。勉強が進んできてだいたいのことがわかってくると、こちらのほうが面白く感じてくるのですが、最初の段階では「保存修復学21」を携えて勉強したほうがよりわかりやすく学ぶことができると感じています。
編集仕方というか、ページのまとめ方や文字と写真、イラストの並べ方など「保存修復学21」のほうが読んでいて非常にわかりやすくできていると思います。歯内療法でも同じ構造で、医歯薬出版のものよりも、21シリーズのほうが僕はわかりやすいです。この本が教科書に指定されている学校はうらやましいなーと思います。
2.カラーアトラスハンドブック 保存修復臨床ヒント集 ★★☆
臨床問題を得意になるコツは、基本的な処置や考え方などを1.にあげたような教科書の内容を一通り読んでから、あとは、臨床の処置の写真をとにかく見て、知らない器具や処置の種類を減らすことです。
このカラーアトラスハンドブックシリーズは少し古いのですが、それでも基本的な処置に関してはかなりリアリティつかめるのでおすすめです。特に文章読むのが苦手で、、、という人は暇な時にパラパラめくっておくだけでも、すごくためになると思いますよ。
もちろん、5,6年次の臨書実習のリアルな処置と教科書の内容を自分で紐付けることは非常に重要です。教科書は、臨書実習の具体的な処置内容をまとめてより抽象的に、学術的にまとめたものです。机上の勉強ではそれらをつかむだけなのでなんとなく体感がなくぼんやりとした理解ですが、その文章化された診断や治療内容を具体的なやり方・道具、手順などを実際の体験と紐付けることでより深い理解になります。そうすると国家試験のやったことない臨床問題でも、頭のなかでイメージして、正解に自分でたどり着けることが多くなります。