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食事摂取基準(2015年)覚えやすい!まとめ・ゴロ

食事摂取基準の問題がエグい

難問化を極めてきている歯科医師国家試験ですが、その中でも食事摂取基準の問題が近年ますますエグさを増しております。今回は皆さん苦戦する食事摂取基準の暗記系のものをまるごとやっつけてやろうと思って、自分なりの覚え方を書いてみようと思います。まずは以下の問題を解いてみて下さい。この記事は食事摂取基準(2015年)に準拠して書いています。

109A-50改 食事摂取基準(2010年)で耐用上限量の摂取量が定められているのはどれか。1つ選べ。

a 脂肪 b 炭水化物 c カルシウム d たんぱく質 e ビタミンK 正答 c

暗記の量が半端ない!

上記のような問題が近年増えているので、予備校の模試でもバンバンそのアタリつついてきます。「え?つまり下の表を完全に暗記しろってことなの?」というすごい状況になっています。栄養士の国家試験ならわかるんですけど、歯科医師の国家試験に必要なのだろうか、、、ただ、出題されてしまうのでどうにか覚えなくてはいけません。ネットで探してみましたがところどころいいゴロは落ちているものの、まとまったものは無かったのでここでまとめてみようと思います。

まずはこのグラフを覚える(栄養素に関する各指標の概念図)

上記のグラフを覚えなければいけません。つまり、以下の図でabcdが何に当たるのか、そらで答えられなければなりません。

「1.推定平均必要量」と「4.耐用上限量」は覚えやすい

この2つは言葉の意味からグラフの位置を導き出せるので楽です。「推定平均必要量」について、aはグラフで0.5のところ、平均の50%なので「推定平均必要量」だと導けます。「耐用上限量」について、dはもうぎりぎり一杯のところにいるから、「耐用上限量」だとわかります。名前から位置が判断しづらいのは「推奨量」「目安量」の2つです。この2つを死ぬ気で覚えましょう。

「2.推奨量」と「3.目安量」を気合い入れて覚える!!

この2つは、文字からグラフの位置を判断できません。ということで気合い入れて覚えるやつです。「推奨量」は、98%の人が足りているというところなので b です。cが「目安量」なのですが、実はcの位置ではなく、目安量は科学的根拠が出せずにいるので適当に定めている量、目安の量ということで、cのあたりになってればいいなーっていう置き方です。このアバウトな感じが目安なんだなってこともおさえておきましょう。

「5.目標量」だけグラフにはない。

栄養素の5つの指標のうち、目標量だけはグラフに書き表されていません。目標量は「生活習慣病」対策の値で特殊なものだからです。「生活習慣病の予防が目標です」と覚えましょう。これは後でもでてきます。

そして、食事摂取基準の本丸、各指標で定められている項目を覚えるの段、、、、下の図をどう料理して覚えるか、です。

1.推定平均必要量

50%の人が必要量を満たす量です。3大栄養素でみると、タンパク質は設定されているのに炭水化物も脂質も設定されていませんね。そりゃそうですよね、糖質制限ダイエットが登場するぐらい、米とりすぎですからね。あとお肉も食べ過ぎです。なので、これぐらいは取ってくださいね、の指定には入ってこないんです! それでも、上の表をみてみると分かるように、3大栄養素以外は、多くの項目が設定されています。設定されていないものが少ない。ということで、設定されていないものでゴロを作って覚えましょう。

設定のない!項目: 「平均もない!短小デックでパンツビオーン、カリ真っ黒」

  • 炭水化物(食物繊維含む)
  • 脂質(飽和脂肪酸、n-3,n-6系脂肪酸含む)
  • ビタミンD, E, K
  • パントテン酸
  • ビオチン
  • カリウム(K)
  • リン(P)
  • マンガン(Mn)
  • クロム(Cr)
何度も言いますが、これは「含まれていないもの」です。しっかりとそこは意識して覚えましょう。炭水化物=「炭水化物+食物繊維」で、食物繊維を含むこと、また、脂質=「飽和脂肪酸+n-3系脂肪酸+n-6系脂肪酸」で、脂質の飽和・不飽和脂肪酸も含んでいることにも注意しましょう。

2.推奨量

ほとんどの人(98%)が必要量を満たす量です。なんと、推定平均必要量とほぼ同じです!ナトリウムが多いだけです。ということで同じゴロを使います。

設定のない!項目: 「推奨されない!短小デックでパンツビオーン、カリ真っ黒な!」

  • 炭水化物(食物繊維含む)
  • 脂質(飽和脂肪酸、n-3,n-6系脂肪酸含む)
  • ビタミンD, E, K
  • パントテン酸
  • ビオチン
  • カリウム(K)
  • リン(P)
  • マンガン(Mn)
  • クロム(Cr)
  • ナトリウム(推定平均必要量と違うのはNaだけ!)

何度も言います笑、これは「含まれていないもの」です。また、炭水化物=「炭水化物+食物繊維」で、食物繊維を含むこと、また、脂質=「飽和脂肪酸+n-3系脂肪酸+n-6系脂肪酸」で、脂質の飽和・不飽和脂肪酸も含んでいることにも注意しましょう。ナトリウムの有無だけが、推定平均必要量と違うところです。

3.目安量

推定平均必要量(50%の人が満たす)も推奨量(98%の人が満たす)もどちらも科学的根拠を得る論文がないものについて、とりあえず定めた、あくまで目安の量です。こちらは、設定されている項目のほうが少ないので、設定されているものでゴロを作ります、、、と思ったところあることに気が付きました。

推奨量、推定平均必要量と比べて、驚いたのですが、なんと「ビタミン」と「ミネラル」に限ると、逆の関係になっています。相補的な関係と言うんでしょうか。つまり、
「推定平均必要量」+「目安量」=「ビタミン、ミネラルの全項目」
の関係が成り立ちます。ということで、推定平均必要量のゴロをモディファイしていきます。

設定のある項目: 「目安箱ある、さむらいデックがパンツビオーン、カリ真っ黒」

  • n-3、n-6系脂肪酸
  • ビタミンD, E, K
  • パントテン酸
  • ビオチン
  • カリウム(K)
  • リン(PO34-)
  • マンガン(Mn)
  • クロム(Cr)

こちらは、1,2と違って、設定されている項目ですので間違わないようにしましょう。ここだけは大きく注意です。以下の図のようにボスの推定平均必要量とは項目が相補的なっていることを理解しましょう。

スクリーンショット 2016 10 09 14 28 06 03

4.耐容上限量

とりすぎ注意なものたち。ミネラルとビタミンに対してのみ定められている。ミネラルはほぼすべて、ビタミンは6つ。ということで、変則的なんですが、ミネラルは、設定のないもの、ビタミンは設定のあるものでゴロを作っております。

「太陽でミネラル満タン!でも中真っ黒! えー?ビタミンビームがでないよう!」

  • 耐用上限量
  • ミネラルはほぼ全部だがNa、K、Cr(クロム)のみ除く。
  • ビタミンA
  • B6
  • D
  • E
  • ナイアシン(ビタミンB3)
  • 葉酸(ビタミンM)

Na(高血圧)、K(心臓とまる)で取りすぎやばそうなんですが、こちらには入っていないのが意外です。「中真っ黒」の部分、「な・か」は「Na・K」ですよ、「Na・Ca」ではないので、注意です。NaもKも目標量で指定されているので、耐用上限量に入っていません。ここはゴロを使うときの要注意ポイントです。

5.目標量(目標量はグラフに表せない)

「生活習慣病をなくす目標」

目標量=生活習慣病予防のための値です。なので、タンパク質、炭水化物、脂肪(飽和脂肪酸のみ)とNa,Kにのみ定められている。(2010年版では、脂肪は全部だった。コレステロールとか飽和脂肪酸とか、、、それらは2015では省かれています。コレステロールが悪い悪いっていわれてきたんですが、その根拠がちょっと怪しいんじゃないかって証明されてきたんですね。卵を一日一個までみたいなこといわれていましたけど、それは嘘なんじゃ?となってきているということです。

5.目標量で設定のある項目 =「三大栄養素とNa、K」

  • 炭水化物=「炭水化物+食物繊維
  • タンパク質=「タンパク質
  • 脂質=「飽和脂肪酸+n-3系脂肪酸+n-6系脂肪酸」だが、n-3とn-6のみ目標量が定められてない。
  • ミネラル=「Na、K」のみ。どちらも循環器系(心臓や血圧)にかかわる重要なミネラルですね。ちなみにNa,Kともに耐用上限量で定められていない!ので、こういうところでも釘打っておくと、後々思い出すときに思い出しやすいです。
  • 3大栄養素については、単純に量が指定されているわけではなく、3つのバランスが指定されています。つまり、炭水化物:50~60%、脂質:20〜30%、タンパク質:13〜20%というように、総エネルギーに占める割合はこのバランスがベストですよーと、指定されています。

目標量に関しては、クソゴロ様( https://goo.gl/qs1ohC )のゴロもありますので、こちらで紹介しておきますねー

目標量 「目標はナカタ、平和の使節!繊細なバランス。」

  • ナトリウム
  • カリウム
  • タンパク質、炭水化物
  • 飽和脂肪酸
  • 脂質
  • 食物繊維
  • エネルギー産生栄養素バランス

または、このようなシンプルなゴロも覚えやすいかもです。

目標量
「したたかなしほ」
  • 脂質
  • 炭水化物
  • タンパク質
  • カリウム
  • ナトリウム
  • 食物繊維
  • 飽和脂肪酸

最後、食塩(Na)について

  • 年々減少傾向だが、日本人はWHOの基準5g以下の倍以上を食べている
  • 健康日本21(第二次):8g(男女共通)
  • 食事摂取基準:男8g、女7g
  • 推定平均必要量目標量のみ設定されている
  • とりすぎで高血圧なりそうですが、耐容上限量には設定されていない!(ミネラルで設定されていないのはNa,K,クロムのみ)
1.推定平均必要量に関しては、上で紹介したような「含まない」もので覚えるのがややこしい人には、以下のようなゴロでもよいかもです。
1.推定平均必要量
「ABCつづかない!タンパクな仲間ぎょーさん!鉄道でセレブにようあえん!」
  • ビタミンA
  • ビタミンB1,B2,B6,B12
  • ビタミンC
  • ナイアシン
  • タンパク質
  • ナトリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム

今回は以上です。下品なものばかりで毎度のことすいません…素敵な紳士・淑女のみなさんは、より清らかで素敵なゴロを作ってくださいねー。

【衛生学・口腔保健学・社会歯科学・その他法律系】のお薦めの参考書

1.公衆衛生がみえる ★★★

医科では有名な「病気がみえる」シリーズの「公衆衛生」の本です。医科系の本は、全国で勉強している人の数も関わっている人も多いので、参考書なども質の高いものが多いです。公衆衛生、衛生学分野ではおそらくもっとも多くの学生によまれている本の1つでしょう。社会保障、医療保険、介護保険、感染症、食品系、疫学、医療法、健康増進法、廃棄物、環境問題、すべてこの一冊で片がつくと思います!

何より図やイラストがわかりやすいです。社会保障制度や国家予算、介護制度など結構覚えること多く、複雑で頭がこんがらがってしまうところこの本では、図や割りきった説明でとりあえずの要点を理解することが出来ます。一から読み進めるのではなく「あれってどんな法律だっけ?」みたいな時に辞書的に開いて使っています。

まずこの本にのっているものはこちらで勉強して、歯科系に特化した口腔清掃指標だったり、フッ化物だったりは載っていないので、そのあたりはは授業プリントや正書で補って使っています。

2.「加藤の国試合格ノート 3.衛生」★★★

昔「衛生の達人」として販売されていたものです。加藤先生が麻布デンタルスクールに移ったタイミングで、麻布のテキストとして販売されるようになりました。加藤先生の本のシリーズは4冊あるのですが、こちらの衛生がバイブル的で秀逸です。 毎年すぐに売り切れてしまうので、まずは予約注文が始まったら予約をかけておきましょう。衛生学や口腔保健まわりは法律や社会情勢の変化とともに毎年覚える内容が変わってきます。常に最新のものを手元において参照するようにする必要があります。

http://www.azabu-dental.co.jp/category/NOTE/

要支援、要介護になった原因

要支援、要介護になった原因(H26国民生活基礎調査=基幹統計より)

要支援
要介護
1位
関節疾患
脳血管障害
2位
高齢による衰弱
認知症
3位
脳血管障害
高齢による衰弱
4位
骨折・転倒
骨折・転倒

下品なゴロ「Ⅱ型アレルギー、Ⅲ型アレルギー」

アレルギー疾患で、Ⅰ型とⅣ型はすっと、頭に入りますが、Ⅱ型とⅢ型は、少しやっかいで、どうしても暗記するしかないような感じです。ということでゴロを考えたら、驚くほど下品なものができてしまいました。気分を害された方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ありません。

下品なゴロです。すいません…

 

Ⅱ型アレルギー
「悪い2人が橋の下、良いケツでイッた、ピュッ」

  • 悪性貧血
  • 2型アレルギー
  • 橋本甲状腺炎
  • 溶血性貧血
  • ITP(特発性血小板減少性紫斑病)

※悪い男の二人組でしょうか、、、

 

Ⅲ型アレルギー
「3人でエリちゃんの子宮を形成する理由」

  • 3型アレルギー
  • 全身性エリテマトーデス
  • 糸球体腎炎
  • 血清病
  • 関節リウマチ

※難しい手術を完璧にこなすスペシャル医療集団か、ただの変態集団か、、、

全部床義歯(フルデンチャー)、部分床義歯(パーシャルデンチャー)のお薦めの参考書

歯科医師国家試験的な、全部床義歯、有床義歯のお薦めの参考書を紹介します。どちらの領域も実習・臨床実習で実際に体験できるものが限られているので、やはり写真やわかりやすいイラストが、大きな助けとなります。

有床の4つの教科書はすごく大事!

皆さんは教科書としておそらく、医歯薬出版社の以下の4冊をデフォルト買わされていると思います。いずれも必須の書です。国家試験は、どの教科もそうですが、医歯薬出版社の本に載っていることは全てチェックしましょう、という約束事があります。全国の教授が作成に関与しているNo.1の書籍ですから、教科書に指定されていることも多く、とにかく出題の標準・基準となるテキストです。揃っていない人はすぐに購入しましょう。わからないことなどはまずはこれらを紐解くべきです。

 

4聖書に加えて以下の本はまじでわかりやすいです

ただし、これらの書籍だけでは説明が足りないところがあります。特に、咬合器の操作についての詳細、オルタードキャストテクニック、チェックバイトを使用した再付着、重合の手技、義歯の経年変化、推進減少などの為害作用などなど、細かい所が聞かれるのに文章だけで説明されていて、うまくイメージできない箇所が多いです。むしろ難しくするために、そういった箇所を狙って問題作っているようにも感じられます。

今回紹介する書籍は、そういった部分を補ってくれるものです。ただあくまで上記の4つの教科書とあわせて使うものです。私は有床勉強するときにはうろ覚えの箇所など、4,5冊本を開いて一番わかり易い画像を探したり、解説を読んでいます。他の教科のように文章から実際の現象をイメージしなくてはいけない量が大きいので、本当に面倒ですがこのやり方が最も効率的に理解を進めていけることに気づきました。

【全部床義歯】「図説無歯顎補綴学―理論から装着後の問題解決まで」  ★★★

麻布の実践で、解説のところに図が書いてあることがありますが、殆どはこの本からの引用です。麻布のは白黒しかなく図は小さいですが、書籍中ではカラーで、体系的な説明も載っているので非常にわかりやすいです。どんなふうにわかりやすいか、以下に例をとって説明しましょう。

ハノーの咬合の5要素と、その調整のための式が図でわかりやすい

ハノーの咬合の5要素、イメージが掴みづらく、つい丸暗記してしまいがちです。でもこの本の図をみれば結構イメージできるようになります。5要素を調和させるための式は、、、

顆路傾斜 ✕ 切歯路傾斜角 / 咬頭傾斜角 ✕ 咬合平面の傾斜 ✕ 調節湾曲の深さ

でした。これをできるだけ一定にするように、あちらが大きければこちらを小さくする、みたいにやっていきます。下の図を見てみましょう。

顆路傾斜と切歯路傾斜によって、前方運動の角度が規定され、それのクリステン現象を補うために「人工歯の咬頭傾斜角」だったり、「咬合平面の傾斜」だったりで、なんとか調整つけていく、みたいな感覚が理解できませんか?分母の3要素と分子の2要素が、そんな風にわけれるんだ、とも理解できるし、現象として理解できるのでなんだか気持ちがよいです。

顎堤の吸収具合と咬頭傾斜の調節

こちらも下の図をみてください。顎堤がなくなっていくと、咬頭傾斜を小さくしなければなのですが、それが視覚的にわかりやすく示されています。要は、咬頭傾斜がきついと、推進現象がより強く起きるので、それを支えるための顎堤の高さが欲しい、という感じなんですが、こうやって図に示されているとわかりやすいですよねー。ああスッキリ。

推進現象がどうやって粘膜にダメージを与えていくか

上の話とつながって、推進現象がどう悪さをするかの図も、超わかりやすく描かれています。臨床実地問題で、床縁が痛いという主訴で、みたいな問題わんさかあるじゃないですか、そのたびにこういった現象をイメージしておくと、咬合調整だったり床の調整だったり、間違わずに判断できるようになりますよね。国試的には貴重なイラストだと思います。

リンガライズドオクルージョンの詳細写真

リンガライズドオクルージョン、上顎の舌側咬頭だけを下顎の中心窩にいれていく、みたいな説明だけでぼんやりとしたイメージしかなったですが、結構詳細に写真と説明があって、かなり理解深まりました。本当におすすめです。

失敗例のイラスト

失敗例を気合い入れて解説してくれるのもこの本の素晴らしい所。どうミスったらどんな風に変なことが起こるのか、これでもかっていう感じで解説してくれています。

アンチモンソンカーブなんてイメージないよ、という方に

「モンソンカーブの逆がアンチモンソンカーブです」みたいなバカみたいだなーって思って4年の最初に解説きくんですが、実際に長年の義歯使用でどの咬頭がけずれてどのようにアンチモンソンカーブができていくのか、懇切丁寧にイラストと文章で解説してくれています。さりげないところだけど、本当にわかるってこういうことの積み重ねだと思うんですよね。。。

ということで、この本はマストバイです!

【全部床義歯】「図説無歯顎補綴学―理論から装着後の問題解決まで」学建書院  ★★★

【部分床義歯】「スタンダード部分床義歯補綴学」学建書院   ★★★

そしてなんと同じ出版社から部分症義歯ver.も発売されています。名前がガラッとかわってしまってわかりづらいのですが、下の本も、学建書院の本です。全部床のものと同様にわかりやすいイラストと泣ける解説で本当に脇をかためてくれる一冊です。特に、重合の説明とか、「アメリカ、フランス、折衷法」の違いについて、これ以上わかりやすくはかけないんじゃないかなというぐらい、よいかんじです。是非チェックしてみて下さい。その他のところも図解力が半端ないです。イメージがつかみやすいです。

【有床全般】「有床義歯臨床ヒント集ーーカラーアトラスハンドブック 」クインテッセンス出版   ★★☆

より臨床的な内容ですがこのシリーズもおすすめです。医歯薬出版の「コンプリートデンチャーテクニック」や「パーシャル〜」は教科書的でほぼラボの写真ですが、この本はチェアサイドでやる直接法だったり応急処置みたいなところでぐっとイメージが付くようなっています。パラパラと合間にみるだけでもへ~ってうなずけるところが多く、よいです。特に義歯の修理だったり、適合試験とその結果の見方→処置、みたいなところは生々してくて、臨床実地問題に対応しやすくなるな、という印象でした。

 

それでもやっぱり4冊の教科書はよく見ておきましょう。

忘れては行けないのは、やはり、医歯薬出版の4聖書、をあわせて使用するということです。教科書も他教科に比べるとかなり写真多めでイラストも多いです。まずは、それらを見て、うまくイメージできないときなどに、上記の本にあたってみるというのがよいでしょう。補綴系は本当に臨床的なことだったり、技工的なことだったりイメージを頭に描けるかどうかが最も重要なポイントになってくると思います。面倒ですが、今回あげた書籍などを脇に携えて画像的に理解していくことで効率的に国家試験の問題に対応していけるようになっていくんだと思います。

 

YOUTUBEも活用しましょう

例えば、下の動画は、フルデンチャーの技工過程をざざっと簡単にみれる動画です。わからない手技があればyoutubeでとりあえず探してみると意外とみれることがあるので、映像はかなりイメージつけるのによいです。

全部床義歯の技工、全体的な流れ

https://www.youtube.com/watch?v=DQi8s8AkDh8

 

今回は以上です。

 

根充後の根尖部の微妙な変化

まずはこの問題を解いて下さい。

97B-48
根管充填後の治癒で正しいのはどれか。3つ選べ。

  1. セメント質の増生
  2. マラッセ上皮遺残の増殖
  3. シャーピー線維の減少
  4. 線維性結合組織による瘢痕化
  5. 溢出根管充填材の線維性被包化

正答 1,4,5

 

4,5は問題なく選べると思います。気になるのは、1.の「セメント質の増生」がよくわからず、気持ちよく選べません。今回はこれについてしっかりとイメージつけていきましょう。

つまり、根管充填が成功すると、根尖孔のところにもセメント質ができてしまうということです。根がまるっとセメント質で覆われてしまう形になります。生活歯では、血管やら神経やらが通るためにそこにはセメント質がなかったけど、根管充填するとその孔分のセメント質が増生しますよ、という、超細かい世界の話です。

ちなみにこれのことを「骨性瘢痕治癒」と呼びます。病理の疾患名とも深く関係する言葉の使い方なので「骨」と「セメント」の言葉についてきちんと理解しましょう。

109回でも問われています。

109A-75
骨性瘢痕治癒が生じるのはどれか。2つ選べ。

  1. 間接覆髄
  2. 直接覆髄
  3. 生活断髄
  4. 直接抜髄
  5. 感染根管治療

正答 4,5

 

骨とセメント質はすごーく似ているので、組織像的にも見分けがつかなくなってきたりします。
歯根部に線維化→硬組織ができてしまう、「骨性異形成症」というのがありますが、これも昔は「セメント質骨性異形成症」と呼んでいましたが、WHOが「セメント質?いや、もう骨と見分けつかないから、骨でまとめるわ」っていって骨性だけと書かれてしまって、歯科的には非常に覚えづらい病名になってしまっています。(「骨形成線維腫」も旧名「セメント質骨形成線維腫」です。)この問題も、「セメント質骨性瘢痕治癒」って問われていたらもっと正答率があがったはずです。国家試験では、そういう嫌なところをついて問題を作ってきますよね。

今回は、以上です。

アイヒナー分類をシンプルに削ぎ落として覚える

アイヒナー分類、ちょっと細かい所おぼえるの面倒です。A1〜A3とかはあまり聞かれませんが、B4なのかC1なのか、みたいに聞かれるとちょっと判断が揺らいできます。

この問題を解いてみましょう。

 

新作

対咬関係はあるが、臼歯部ではすれ違い咬合である場合、アイヒナー分類はどれか。1つえらべ。

  1. B2
  2. B3
  3. B4
  4. C1
  5. C2

 

正答 3

 

 

 

「B〜」の「〜」は臼歯部の咬合支持がなくなった数!と覚える!

アイヒナーの分類は、Bの後の数字の覚え方をしっかりしておきましょう。Bの後の数字は、臼歯部の咬合支持がなくなった数です。つまり、B1は臼歯部の咬合支持域が1つない(=3つの臼歯部の咬合支持がある)。B3は臼歯部の咬合支持域が3つない(=臼歯部の咬合支持が1つのみある)。B4は臼歯部の咬合支持域が4つない=前歯部のみの対咬関係あり。ということです!

そして前歯部の対咬関係もなくなると、いよいよ「C」となります。アイヒナーはBが重要!Bの覚え方を完璧にしましょう!

AとCに関しては以下のように数字の意味が違ってくるので、これはおまけで覚えておきましょう。でも問題にでるのはBです。Bは必須で覚えましょう。

・A1:全歯あり、A2:片顎に欠損、A3:上下顎に欠損(咬合指示域は全てキープ)
・C1は歯があるが、どこも対咬関係がない。C2は無歯顎。

 

 

以下のような図をテストの時に書くとシンプルに考えて間違わずに答えられる。

 

簡単に図を書くと以下のようになります。

大臼 小臼 前歯 小臼 大臼
大臼 小臼 前歯 小臼 大臼

 

A:全アリ

 

B:一部アリ

B1(臼歯部の咬合支持が1つない)

B2(臼歯部の咬合支持が2つない)

B3(臼歯部の咬合支持が3つない)

B4(臼歯部の咬合支持が4つない)

 

C:全ナシ(すべての対咬関係がない)

これぐらいの図なら、みなさん、手書きでかけるんじゃないでしょうか?教科書に載っているイラストは、わかりやすいですが自分で書くのが難しいです。これぐらいシンプルに記号化すると、何回か練習すれば、いつでも思い出せるようになると思います。

 

確認問題

問:以下の例はアイヒナーの分類はどれになりますか?

 

答:B2

前歯部の対咬関係ないですが、気にすることなく、臼歯部の対咬関係がいくつ失われているか、に着目しましょう。2つないので、B2です。

 

図が苦手な人は、、、

A1〜3「咬合支持域の損失0=臼歯部4+前歯部1」
B1「咬合支持域の損失1=臼歯部3+前歯部1」
B2「咬合支持域の損失2=臼歯部2+前歯部1」
B3「咬合支持域の損失3=臼歯部1+前歯部1」
B4「咬合支持域の損失4=臼歯部0+前歯部1」

C1「すべての対咬関係なし=臼歯部0+前歯部0」

のように前歯部と臼歯部の対咬関係を書き出して答えてもよいかもしれません。

以下の図も参考にしてください。

アイヒナーの分類(「歯学生のパーシャルデンチャー」医歯薬出版 より引用)

 

 

 

 

虐待の種類

虐待の種類

 

老人虐待(高齢者虐待防止法)
障害者虐待(障害者虐待防止法)
小児虐待(児童虐待防止法)
定義
  • 身体的虐待
  • 心理的虐待
  • 性的虐待
  • 経済的虐待
  • ネグレクト
  • 身体的虐待
  • 心理的虐待
  • 性的虐待
  • 経済的虐待
  • ネグレクト
  • 身体的虐待
  • 心理的虐待
  • 性的虐待
  • —  経済はない!!
  • ネグレクト
報告先
  1. 市町村
  1. 市町村
  1. 市町村
  2. 児童相談所
  3. 福祉事務所
(警察ではない!)

 

虐待に関して、急に細かいところが出題されるようになってきました。
各項目、正確に覚えましょう。「全て選べ」で選べるように。
小児虐待だけ、イレギュラーなので、そのあたりを重点的に整理すると覚えやすいです。
必修系なので、ガチでいきたいところです。

顎関節脱臼の治療 —「顎関節制動術」とは?

脱臼の治療 —「顎関節制動術」とは?

顎関節は「炎症」や「骨折」や「顎関節症」や「脱臼」それぞれきちんとまとめずにごっちゃになりがちです。今回は脱臼の治療についてまとめました。特に外科的な処置は、稀ですが、試験では問われやすいのでしっかりとイメージと言葉をリンクさせておきましょう。「制動術」=「動きを制する術」みたいな、ところがポイントです。

1)保存的治療=徒手的整復術

  1. ピポクラテス法(対面で前から脱臼を戻す。”H”は正常位が基本、と覚える)
  2. ボルヘス法(後ろから脱臼を戻す。Backの”B”と覚える。)

 

2)外科手術

  1. 顎関節制動術(関節結節を盛り上げて、前にずれないようにする=動きを制限する術
  2. 関節結節削除術(関節結節をなくして、戻しやすくする。外れやすくもなる)

 

108回ではこれが問われていましたね。以下の問題です。

108 D-44
77歳の女性。閉口できないことを主訴として来院した。昨夜の夕食から食べに くくなると共に、耳前部に疼痛が出現したという。以前から数回同じ症状を繰り返 しているという。初診時のエックス線写真(別冊 No. 44A)と治療のために行う手術 の模式図(別冊 No. 44B)を別に示す。
本術式の目的はどれか。 1 つ選べ。

a 上関節腔の開放
b 関節結節の平坦化
c 関節周囲組織の瘢痕化
d 下顎頭の前方滑走の制限
e 関節円板の前方転位の防止

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-30-10-04-30%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-30-10-05-02

 

正答 d

 

この処置の名前が「顎関節制動術」です。最近(現在2016)、口腔外科学会では、習慣性の顎関節脱臼が施設で多くおきているらしく戻すのが大変で、「顎関節削除術」の症例発表が多く、よくられているみたいです。次回は「顎関節削除術」が出題されるかもしれませんね。

ややこしい名前のまとめ_口腔外科

嚢胞と腫瘍、ややこしい名前達

  1. 濾胞性歯嚢胞=含歯性嚢胞
  2. Hofrath(ホフラート)嚢胞=8の智歯周囲炎でできる歯周嚢胞(炎症性嚢胞)
  3. 歯周嚢胞(炎症性嚢胞)と側方性歯周嚢胞(発育性嚢胞)は違う!
  4. 腺リンパ腫=ワルチン腫瘍
  5. 鰓嚢胞=側頸嚢胞=リンパ上皮性嚢胞

 

先天異常の別名

  1. 下顎顔面異骨症=トリーチャー・コリンズ症候群(下顎と耳異常|左右対称)
  2. Goldenhar ≒ 第1第2鰓弓症候群(左右非対称)→常染色体優性遺伝ではない!遺伝+環境。口蓋裂と同じ。
  3. 頭蓋顔面異骨症=Crouzon症候群、Apert症候群など (頭蓋骨縫合の早期癒合と顔面骨の発育異常を合併した疾患の総称を頭蓋顔面異骨症という)
  4. EMG症候群=Beckwith-Wiedemann症候群

 

 

リドカインは、すごく、よくできてる薬だ!

109回歯科医師国家試験で、リドカインの作用に関する少しマニアックな問題が出ました。自分で解いてみて見事に間違ってしまったのですが、確かに3年次のときに習ったよなーと、図も書いた覚えがあるのに、、、ベーシックなところを再度おさらいしましょう。

109C-129
リドカイン塩酸塩(イオン型⇄非イオン型)の作用機序の模式図を別に示す。
正しいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

正答 イ

 

 

 

リドカイン、局所麻酔薬は歯科治療に最も重要な薬といってもよいでしょう。薬の機序的にはナトリウムイオンチャネルを阻害し、痛みの刺激が伝わるのを抑制する、というもので、これは誰もが知っていることだと思います。では、どのように阻害するのか、もう少し詳しいところが問われた問題でした。

閉じている状態でくっついているのか、開いた状態でくっついているのか、をまず知らないと行けないですし、細胞質のほうからくっつくのか、外からなのか、というようなことも求められています。あとは膜を通過するときの型ですね。

 

 

電位依存型Na+チャネルの3状態

まずは、基本をおさらいしておきましょう。局所麻酔薬で阻害するナトリウムイオンチャネルは以下の図のように3つの状態があります。

 

  1. 静止状態
  2. 開口状態
  3. 不活化状態

通常は静止状態で、Na+イオンの出入りはありません。細胞質で濃度が高いK+が少しずつ細胞外へ漏れ出ているので、これで、静止膜電位 約-70mVができています。

刺激を受けた時に、イオンチャネルは開口状態となり、Na+流入→脱分極となり、活動電位が発生します。その興奮が、次々と伝わっていくことで、中枢側へ伝わっていきます。刺激の伝導とは、つまり、隣のイオンチャネルをバカバカと開けていくことなのです。

 

不活化状態の意味とは?

ポイントは「不活化」状態があることでしょうか。なんとなくオンとオフ(開口と静止)があればいいじゃね?と思いがちですが、不活化の状態というのは、「不応期」になっていて、どんなに刺激しても開口しない状態です。そういう時間ができるようにあえてシステムが組まれています。

活動電位の発生には閾値があることで、ノイズ的な小さな刺激には反応しないようになっていることはご存知だと思いますが、これは、本当に意味のある興奮だけを伝えるためです。

不応期がないとすると、過分極から、だんだん膜電位が下がっていき脱分極になる過程で、ノイズ的などーでもいい小さな刺激があってもそれでまた活動電位が発生してしまうことになります。きっちりとした興奮伝導の交通整理のために不活化状態があるということです。

ちなみにNa+イオン流入で、電位差が生じるのは膜近くのほんの表層の部分のみです。「膜電位」といいますよね。けして細胞全体の電位が変わっているわけではなく、膜の局所的な電位だけが反転しているのです。Na+流入後、不活化になったとたんに、高濃度のNa+イオンは、その背後に控える大量の細胞質(Na+少なく、K+がすごく多い)に薄められて、とたんにまた静止膜電位となります。
Na+流入のあとは、Na-KポンプでNaを全部外に出しきるまで、電位差が戻らないのでは?とか考えたことあるんですが、実際の細胞やイオンチャネルのスケール感を考えるとなるほどと言った感じです。

 

リドカインは「開口」状態の時に結合する

さて、本題のリドカインの作用についてですが、以下の図のようになります。

リドカインは開口状態の時に、イオンチャネルと結合します。これは「痛みの抑制」という観点からは非常に適切な性質です。なぜなら、痛みが発生するときはそこらじゅうのNa+チャネルが開きまくって興奮しているわけです。ここの状態の時に、特異的に結合できるということは、まさに抑えたい痛みを止めるのに、ピッタリです。さらに、静止状態にある他の普通のNa+チャネルなどには害を及ぼさないということがよいですね。痛いところにカチッと効いていく、というのはすごくよくできているなーと思います。

ちなみにフグ毒などのテトロドトキシンは静止、開口、状態に関係なく、細胞の外から蓋をするようにイオンチャネルを阻害していきます。手当たり次第、Na+チャネルを止めてしますので、呼吸抑制まで引き起こし死にいたらしめることもあります。

リドカインは「不活化」状態をずっとキープする働き。

最初に話した不活化状態。開口してからわずか0.5ミリ秒後には不活化状態になるわけですが、リドカインはこの状態をキープする働きがあります。つまりどんな刺激が来ても反応しない、不応期を持続させているような状態です。

細胞内外のpHとリドカインとの関係

細胞膜は非イオン型=疎水性でないと通ることはできません。細胞膜がリン脂質二重膜、つまり油の膜でできているので、水溶性のものは弾かれてしまいます。リドカインも非イオン型になって、細胞膜を通過します。

リドカインは、弱塩基性の薬物です。つまり、周りが塩基性の時に非イオン型になり、細胞質を通りやすく、効果を発揮しやすくなります。逆に、炎症が起きている急性期などは組織が酸性に傾くので、リドカイン、局所麻酔薬はイオン型が多くなり、細胞膜を通過することができず、麻酔が効きづらくなってしまいます。

細胞質の外は、pH7.4です。中はpH6.8〜7.4で少し酸性に傾いており、つまり外よりはH+が少し多い状態です。つまり、一度、細胞膜をくぐってしまうと、イオン型になりやすくなり、外にでにくくなります。イオンチャネルと結合しているときはイオン型でも効果を発揮できるので、これは好都合です。つくづく、よくできているなーと感心させられます。

心が動いた時、それが、知識の定着の時

今回は、調べていく中で、「よくできているなー」と何度も感心するポイントがありました。淡白な文字の羅列、情報の羅列だけで知識を摂取している間は、単純作業でなかなか覚えずらい感じなんですが、今回のように少しでも「なるほど!」とか、感動するポイントがあるとその事柄はずっと覚えていることができます。無味乾燥なつまらない荒れ地の中を進んでいくような勉強かもしれませんが、その中で如何に感動できるポイントを見出していけるかということも勉強の秘訣の一つかもしれません。

高杉晋作

「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり」

 

今回は以上です。