2016年 8月 の投稿一覧

「修復象牙質(第三象牙質)」と「デンティンブリッジ」は違うものです

今回は歯内療法から、非常にベーシック内容です。
必修問題対策で、確実にイメージをつけていきましょう。

 

新作

暫間的間接覆髄法の主な目的はどれか。2つ選べ。
a 歯髄の乾屍
b 歯髄の血流回復
c 修復象牙質の形成
d 感染象牙質の再石灰化
e デンティンブリッジの添加

正答 c d

修復象牙質は、「露髄していない象牙質の下に」できていきます。
デンティンブリッジは、「露髄した歯髄のところに」できていきます。

修復象牙質は、間接覆髄法、IPC法などではお薬を塗って形成を促進させますが、お薬を使わなくとも、エナメル質がなくなり、象牙質が露出した状態が続くと外からの刺激に対する防御反応として、生理的に作られていきます。

デンティンブリッジは、基本的には薬で作るものです。露髄面に水酸化カルシウム製剤などを塗り、その直下の歯髄を壊死させます。それが保護層となり、その下に象牙芽細胞が誘導されて、
デンティンブリッジが作られます。橋のように象牙質の間を渡します。被蓋硬組織などど呼ぶこともあります。デンティンブリッジが関係するのは、「直接覆髄法」「生活歯髄切断法」「アペキソゲネシス」です。

「アペキシフィケーション」は根尖部に硬組織を作ります。デンティンブリッジではありません。セメント質様硬組織、骨様硬組織などと呼ばれます。

抗真菌薬のゴロ(下品ですいません…)

 

抗真菌薬のゴロ
「ミカのアナにトリコ。フルチンでナゾール」

  1. ミカファンギン(βグルカン=細胞壁、合成阻害)
  2. アムホテリシンB(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  3. ナイスタチン(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  4. トリコマイシン(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  5. フルシトシン(DNA合成阻害)
  6. アゾール系=ミコナゾール、フルコナゾール(エルゴステロール=細胞膜、合成阻害)

 

基底細胞母斑症候群のイラスト

基底細胞母斑症候群で、歯科国試的に問われる特徴をイラストにしてみました。

 

元々は、基底細胞母斑が一番、特徴的な所見だったので、この疾患の名前になったのだと思いますが、症候群として併発する症状が多すぎて、覚えづらいですよね。私は以下の様なイラストでビジュアル的に覚えています。5回ぐらいかけばすぐ覚えられますよ。言葉の羅列よりかはよっぽど脳の負担が少ないです。(超雑でごめんなさい…)

 

  1. 大脳鎌の石灰化(脳を左右に真っ二つにわけているところが石灰化します。)
  2. 両眼解離
  3. 多発性の角化嚢胞性歯原性腫瘍
  4. 類表皮嚢胞
  5. 二分肋骨(肋骨が枝分かれして細かく分かれてしまいます)
  6. 小ピット(手や足に小さな凹みができます)
  7. 基底細胞母斑(ガン化する可能性のある、ホクロがたくさんできます)

 

 

顎変形症の外科手術の名前をまとめる

顎変形症の外科手術はよくやるのが、下顎はSSROと上顎 Le Fort Ⅰ型 なので、その2つはよいんですが、他の術式も覚えなくてはいけないです。しかも、開発した人物名の別名もあるので、結構わかりずらいです。

ちなみに抜歯をするのは、歯列の途中で骨切りする以下の3つです。これらは骨格性の開咬の治療など臼歯部には問題がない場合や、上下顎前突症のクイック矯正、などで行われたりします。

  • Dingmann法(下顎骨骨体一部切除術)
  • Kole法(下顎骨前歯部歯槽骨骨切り術)
  • Wassmund法(上顎骨前歯部歯槽骨骨切り術)

 

究極にシンプルにまとめたので、一度、書き写すだけでも違ってくると思います。

 

下顎枝矢状分割術 SSRO(Obwegeser- Dalpont)

下顎骨垂直骨切り術 IVRO(Robinson法)

 

下顎枝水平骨切り術(コステカ法)

下顎骨体一部切除術(Dingmann法)=両側4の抜歯!骨体部全部切って後ろにずらす。歯槽骨だけ切るのはKole法

 

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下顎前歯部歯槽骨骨切り術(Kole法)==両側4の抜歯!歯槽骨のみ切って後ろにずらす。上顎ver.はWassmund法。骨格性の開咬等によい。

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上顎歯槽骨骨切り術(Wassmund法)==両側4の抜歯!歯槽骨のみ切って後ろにずらす。下顎ver.はKole法。骨格性の開咬などによい。

 

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基底膜の組成をイメージで簡単に覚える

 

生化学で基底膜の成分をしっかりおぼえなくちゃいけないですけど、ややこしいですよね。
今回はそれを図とイメージで一発で覚える方法をお教えします。
まずはこの問題から。

 

102B-27

細胞外マトリックス分子で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ピアルロン酸は高度に硫酸化されている。
  2. グリコサミノグリカンは分枝状糖鎖である。
  3. アグリカンは軟骨プロテオグリカンである。
  4. パールカンは基底膜プロテオグリカンである。
  5. デコリンは グリコサミノグリカン鎖を2本もつ。

 

正答 3,4

 

 

1.間違い。ヒアルロン酸は名前に硫酸とかついていないので、ヘパラン硫酸とかコンドロイチン硫酸とかとくらべると硫酸化されていません。ヒアルロン酸はグルコロンさんとNアセチルグルコサミンの繰り返しです。グリコサミノグリカン(GAG)なのに、プロテオグリカンみたいに幅をきかせる特殊なGAGです。

2.GAGは直鎖状なので✕

3.アグリカンは a ggrecan と英語の”a”がつくグリカンなぐらい超メジャーなやつです。軟骨を中心に、大脳、大動脈、腱組織にいます。◯

5.✕です。デコリンは1本のGAG。ビグリカンが2本のGAG。

パールカンが、プロテオグリカンなのか接着性蛋白なのかいつも忘れてしまいます。特に、ラミニンとごっちゃになる。基底膜の組成、構造を復習しましょう。

 

基底膜の組成と構造について

基底膜の組成

  • 4型コラーゲン
  • ラミニン=接着性タンパク質
  • エンタクチン=接着性タンパク質
  • パールカン=グリコサミノグリカン

上記を図に書くと以下のようにかけます。基底膜は、膜なので、平らな構造になります。使われるコラーゲンも線維性結合組織にあるような丈夫なヒモぽいの(Ⅰ型コラーゲン)じゃなく、うまくつながって網状に平らに広がっているもの(Ⅳ型コラーゲン)になります。

本当は違うんですが、覚えやすいような図に少し変えています。

 

パール=真珠が宝石箱に入っている

パールカンは、プロテオグリカンです。電子顕微鏡で見ると本当にパール=真珠が連なったような団子状の形をしています。パールカンは基底膜のⅣ型コラーゲンの格子にはいるように水分保持担当みたいな役で存在しています。これも本当は少し違うんですが、イメージで、宝石箱の格子に入っている真珠、みたいに覚えると覚えやすいのでそうこじつけています

プロテオグリカンの役割は主には水をひきつけておくことです。体の半分以上は水で出来てるじゃないですか?それどのようにもってるかっていうと、グリコサミノグリカンが硫酸とかマイナスをたくさん携えて、水分子をくっつけてゼリー状の水のような感じで持っています。

 

ラミニンは「ラミネート接着」で接着性タンパク質

ラミネート加工ってあるじゃないですか?会員証とかを固めの透明なフィルムでくっつけるやつ。あれをイメージして下さい。平面にならんだⅣ型コラーゲンやパールカンをラミネートで接着している様子です。

本当は違うんです。本当はラミニンの形は違うんですが、覚えやすいように上の図のように整理しています。この方が覚えやすいですよね?

ラミニンは接着性タンパク質ですからRGD配列をもち、細胞のじゅようたいであるインテグリンと接合し、基底細胞とくっついています。他にはエンタクチンという、接着性タンパク質もありますが、まずはラミニンです。エンタクちんはとりあえず、円状のラミネートもあると覚えておきましょう。

 

プロテオグリカンとGAGのペア

  • アグリカン ー コンドロイチン6硫酸
  • パールカン ー ヘパラン硫酸

これも覚えなくちゃですよね。プロテオグリカンとGAGのペア。とりあえずメジャーどころ上2つを覚えましょう。以下のゴロをつかいましょう。

アグリカンは、カ行「カキクケ」コンドロイチン硫酸

パールカンは、ハ行「ハヒフヘ」ヘパラン硫酸

 

今回は以上です!

Partsch Ⅰ法とⅡ法の切開線はわかりますか?

今回はこの問題です。

 

新作1
35歳の男性。右側上顎側切歯の根尖部と口蓋部に波動を触れる。
上顎の嚢胞の診断で右側上顎側切歯の歯根端切除術と副腔形成術を行うこととなった。
正しい切開線はどれか。1つ選べ。

 

正答 ウ

 

 

新作2
同じ診断で、歯根端切除術と摘出閉鎖術を行う場合、
正しい切開線はどれか。1つ選べ。

 

正答 ア

 

Partsch Ⅰ法とⅡ法の違いはわかる。切開線は、、、

Partsch Ⅰ法とⅡ法の違いを理解している人は多いと思います。
開窓術なのか、摘出閉鎖術なのか、そのことは有名ですよね。
では、その時の切開線をどうするのか、把握している人は少ないのでしょうか。

歯根端切除術を行うので、基本的には唇側から攻めることになります。
口蓋側からは歯根端切除がやりずらくて、難しいです。よって選ぶべきはどちらも唇側の切開線です。

また、新作2のほうは、摘出閉鎖術なので、ア=バスムンド切開とイ=パルチ切開、どちらも適用なはずですが、歯肉縁から、5mm以上切開線が取れない場合は、パルチ切開線をすると血流が取れなくなるため、バスムンド切開をおこなうことになります。バスムンド切開は、歯肉退縮のリスクがあります。

以下のようにまとめることができます。

 

 

Partsch Ⅰ法とⅡ法の術式や意味については、後半にまとめるとして、
まずは手術開始時の切開線をどのようにするかを整理しましょう。

Partsch Ⅰ法は嚢胞が大きいとき、それを小さくするためのものです。
嚢胞を全部取る必要がなく、
基本的には、穴をあけて、開放しておけけばよいので、
最小限の切開で良いことになります。

縫合は元の切開部分ではなく、病変の縁の口腔粘膜と縫うことになります。
縫合は基本的には骨の裏打ちがある部分がよいです。

Partsch Ⅱ法では、
嚢胞を全摘出後、再度、閉じてあげなければいけません。
Partsch Ⅱ法では切開した部分、同じ場所で、再度縫合することになります。
縫合するためには、縫合部の下に骨の支持が必要です。
摘出した中腔の上、粘膜だけを縫っても、破れやすそうじゃないですか?
感染も起こりやすそう、、、
よって、切開線は病変部分にかからないように大きくなります。
いまではCTあるので事前に切開線の設定がかなり厳密にできるようになっています。

 

 

 

嚢胞の治療、Partsch Ⅰ法とⅡ法

嚢胞の治療で、以下に示すようなPartsch Ⅰ法とⅡ法の違いは有名ですよね。
Partch Ⅰ法は、別名、副腔形成術や開窓術と呼びます。
Partsch Ⅱ法は、摘出閉鎖術です。
以下に、基本事項をまとめます。

 

Partsch Ⅰ法(開窓術、副腔形成術)

嚢胞壁には穴を開けておくだけで、嚢胞壁はそのまま残しておきます。大きい嚢胞を小さくする目的で行うので、小さくなった後で再度、摘出術を行うことが多いです。

2回目の手術は、実質的にはPartsch Ⅱ法をするということになるので、ⅠとⅡがいつもどっちだっけ?となる人はこの治療の順番を覚えておけば、一発で覚えられますね。

ガマ腫のみ特別で、開窓術のみで完治することがあります。

治療には時間がかかりますが感染のリスクなどはPartsch Ⅱ法よりか低いですし、周辺に神経などある場合、それを傷つけるリスクも低いので侵襲性が低いより安全な術式とも言えます。

Partsch Ⅰ法(腹腔形成術、開窓術)

 

 

 

 

Partsch Ⅰ法とⅡ法のどっちが開窓術かいつも忘れてしまう人のために、、、

エナメル上皮腫の治療で年齢が低い患者の場合、
区域切除すると可哀想なとき、
まず開窓して、そのあと摘出+骨削合する場合がありますよね。
そのときはまさに、

Partsch Ⅰ法にて開窓してから、
Partsch Ⅱ法で、全摘出+骨削合

することになります。
1と2がそのまま、開窓→摘出の順番になっているので覚えやすいですね。

ちなみに、エナメル上皮腫は、腫瘍なので、嚢胞の治療=開窓術をするのはおかしいんじゃないか?と思う人が多いかもしれません。

エナメル上皮腫は、腫瘍内に嚢胞を形成しやすく、嚢胞型と充実型と、分類も存在します。エナメル上皮腫への開窓→摘出・骨削合術ができるのは、嚢胞型の場合のみなります。充実型で細胞がつまっているタイプのエナメル上皮腫には、その方法は使えません。

しかも、嚢胞の時とちがうのは、摘出時に骨削合など、周辺の骨もとるということです。再発しやすいので、単純な摘出では十分でないということになります。以下の3つ、

  • 歯原性粘液腫
  • 角化嚢胞性歯原性腫瘍
  • エナメル上皮腫

は、悪性腫瘍様の術式が必要になります。摘出時に周辺骨の削合が必要だったり、辺縁切除や区域切除が適用となる、特徴的な良性腫瘍です。

 

 

Partsch Ⅱ法(摘出閉鎖術)

嚢胞が小さい時には、そのまま嚢胞を全部とってしまって、
縫合する方法を選びます。
これをPartsch Ⅱ法と呼びます。
こちらは、閉鎖腔に血餅がたまり、、、、
あとはお馴染みの創傷治癒の過程を経て、治癒していきます。

Partsch Ⅱ法(摘出閉鎖術)

 

おすすめの口腔外科の本

サクシンクト口腔外科学―カラーアトラス  ★★★★★

口外の参考書といったら、まずこれです。
持っていない人はすぐ図書館でチェックしてみましょう。
私は最初に開いた時、わかりやすさに唖然としました。
写真もイラストも豊富で、表などのまとめもすごくリーズナブルです。
自信をもっておすすめできる一冊です。

 

口腔外科学 第3版 医歯薬出版株式会社  ★★★★☆

高いので、教科書に指定されている大学は少ないかもしれません。でも買うことを強くオススメします。写真や図が多いです。細かい臨床的なことも書いてあるので、それぞれの項目、イメージがつきやすいです。

辞書的に使えますし、いままで調べていて、載っていなかったということが少ないです。何より、わからないとき一瞬で疑問が解決するということは、いまの時間ないときには本当に貴重です。

 

歯科国試KEY WORDS 口腔外科アトラス  ★★★★☆

まだ口外の勉強、始めたばかりの人は、こちらを開きましょう。写真が豊富で、病気のイメージがすごく持ちやすいです。

DES製なので予備校らしいというか、サクシンクトを国家試験にでたところだけに焦点をあててまとめた感じです。
過去問の理解にはよいかもしれませんが、それ以上のものや体系的に学ぶには少し物足りない印象です。

書いてあることが最小限で、シンプルに頭のなかを整理できるでしょう。これまで言葉だけだったことをわかりやすい写真とイラストでイメージ持ちやすくなります。

産業歯科保健

よくわからないけど、調べる気にもならない単語、をおいかけることは重要です。
今回はこの問題。

104C-60

産業歯科保健で正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. THPは 労働者の健康保持増進を目的としている。
  2. 職業性の歯の酸蝕症治療は健康保険の対象となる。
  3. 産業医学基礎研修を受講しなければ産業歯科医になれない。
  4. 特殊健康診断を行った歯科医師が業務上疾病の認定を行う。
  5. 歯科医師による特殊健康診断は年に1回行うことが定められている。

正答 1

 

1は当たり障りない文章だけど、これだって自信持って選べる感じではない。保留。
2 は労災保険なので、✕
3 は「産業医」ならそうなんですが、歯科医は会社全体のことみることもないので、必要ない。ということで✕
5 は年2回なので✕。ちなみに普通の健康診断は年1回です。
4 は「診断」が歯医者で、「認定」は労働基準監督署の所長らしいんですが、、、、労働基準監督署ってなんだろう。。。とりあえず✕

ということで正答は1になります。

4を自信持って消せるかどうかが、1を正解に残せる大きなポイントになってきます。

 

労働基準監督署とは?

労働系の行政は、3段階で、おおまかに、国、県、市、レベルで、それぞれ
厚生労働省労働基準局、都道府県労働局、労働基準監督署、があります。
労働基準監督署は全国に約350あり、一つの県に7つ位ある計算。
便宜上、市のレベルということにして説明します。
この労働基準監督署が、僕達、労働者が問題あった時に駆け込む窓口です。
第一線で仕事するプレーヤーで、他の上の組織は下を束ねたり調整する役割です。

仕事中に怪我しちゃった時、どこに言いに行けばいい?

労働基準監督署は
労災とか労働基準違反とかの問題を最前線で解決している窓口です。
とりあえず、なにか問題あったら労働基準監督署に言いに行けばいい。
労災の疾患の「診断」は歯科医ですが、最終的な「認定」は労働基準監督署の所長が行う。

原発の作業で、白血病になったという人が労災認定受けていましたが、
医者が白血病の診断をして、この労働基準監督署の所長が「労災認定」を行ったわけです。

 

吸入麻酔の導入の速さ「心拍出量」「肺胞換気量」

general anesthetic

吸入麻酔の導入の速さについて、イメージしづらく、
ちょっとややこしいので、なかなか知識が定着しません。
今回は、この問題です。

 

101B-74

吸入麻酔で導入時間が短くなるのはどれか。1つ選べ。

  1. 心拍数の増加
  2. 心拍出量の増加
  3. 収縮期血圧の上昇
  4. 肺胞換気量の増加
  5. 機能的残気量の増加

 

正答 4

 

 

まずは消せる選択肢

4.血圧は関係ないのでまず消せます。
5.機能的残気量も、呼吸に使ってない余りスペースなので、
それが増えたら、麻酔ガスが効率的に脳に届かなくなり、これも消せます。

悩む選択肢

「1,2の循環系の増加」と「4.肺胞換気量の増加」、
どちらも、脳に麻酔ガスが早く、たくさん届きそうな気もするし、
早く脳から麻酔ガス成分がいなくなってしまう気もするし、
ちょっと迷ってしまします。
まーでも、1つ選べなら、「4.肺胞換気量の増加」しかないので、
選べますが、全て選べで聞かれることになる可能性ありますから、
ここはきちんと理解しておきたいところです。

general anesthetic

吸入麻酔とは

吸入を開始したとき、最初の麻酔ガス分圧は

肺胞内 > 動脈血 > 脳

の順になっている。上記のイラストのように、ガスが通る順に高くなっていることがわかる。通っていく間にどんどんガスがなくなっていって薄くなっていくので、当然のことだろう。

そして、しばらく時間が経つと平衡状態になり、それで吸入麻酔が効いている状態になる。
吸入ガス麻酔の本質は、

「脳へ麻酔ガスをどれだけ届け続けられているか」

ということになる。

ここで、「肺胞換気量の増加」「心拍出量の増加」がなぜ違いが出てくるのかすごく疑問に思う。
どちらも高まれば脳へのガス濃度が増えるように思えるからだ。

「肺胞換気量の増加」→ガスがたくさん入ってくるので、脳にもたくさんガスがいって導入早い:正解

「心拍出量の増加」→血流が多いので、脳にたくさんガスが届けれられて、導入早い?:間違い

心拍出量の増加のときに麻酔ガス濃度がどんな変化を示すのか、が知りたいですね。

cardiac output

心拍出量の生理を知ることが重要

心拍出量の増減と、肺胞換気量の増減は、意味合いが違ってくる。
次の大原則をしっかりと刻みこむことが必要だ。

「脳への血流量は、どの臓器よりも優先して一定に保たれている。」

だから、心拍出量が増えた時には、脳以外の臓器、筋肉や他の組織への血流量が増えるということを意味する。

よって、その時、麻酔ガスが脳以外にもいってしまうことを考えると、導入の速度は遅くなることがわかる。
逆に、心拍出量が減った場合、脳への血流量は何としても一定に保つため、
筋肉などの血流量を減らしていく。相対的に、脳への血流の配分が増えるので、
麻酔ガスがより多く脳へ届く状態になる。
「肺胞換気量の増加」→ガスがたくさん入ってくるので、脳にもたくさんガスがいって導入早い:正解

「心拍出量の増加」→血流が多いので、脳にたくさんガスが届けれられて、導入早い?:間違い

「心拍出量の増加」→脳より全身系の血流量が増えるので、脳へのガス量が減り、導入遅い:正解

 

注意しなくてないけないのは、
心拍出量 ≒ 肺血流量ということだ。
肺胞換気量と肺血流量の意味するところが逆になっているので、これはかなりややこしい。

 

肺胞換気量は絶対重要

肺胞換気量は麻酔ガスの生体への入り口なので、
増えれば増えるほど、体内にガスが供給されることになる。
麻酔ガス濃度が増えても、生体に入ってくる量が増えるので、
導入速度は速くなることがわかる。

 

ガス麻酔薬と静脈麻酔薬の違い

今回は以上です。

MAC値のゴロ

MAC値のゴロをまとめました。

ハロタン:0.75%
ハロー!タンポン、オナゴの日
笑気:105%
東郷は笑わない
セボフルラン:1.71%
お歳暮は、フルラン、以内
イソフルラン:1.15%
磯野カツオはいい子
デスフルラン:6%
無理です

【矯正】Ⅱ級ゴムとⅢ級ゴムの作用

Ⅱ級ゴムとⅢ級ゴムの作用についてトリッキーな聞き方をする問題が増えてきました。

今回はこちらの問題です。

 

108C-59(改)

Ⅱ級ゴムの作用による変化はどれか2つ選べ。

 

  1. 上顎前歯の圧下
  2. 上顎骨の成長促進
  3. 下顎骨の成長抑制
  4. 下顎骨の後下方回転
  5. 下顎前歯の唇側移動

 

正答 4,5

 

 

 

109A-117(改)

Ⅲ級ゴムの作用による変化はどれか2つ選べ。

 

  1. 上顎前歯の圧下
  2. 下顎大臼歯の圧下
  3. 咬合平面角の減少
  4. 下顎前歯の舌側移動
  5. 上顎骨の前方成長促進

 

正答 3,4

 

 

Ⅱ級ゴムとⅢ級ゴムの前後的な移動は誰でもわかる

顎間ゴム(Ⅱ級ゴムとⅢ級ゴム)についての作用で、
前後的な動き方は、簡単ですよね。

 

Ⅱ級ゴムであれば、

  • 上顎は後方へ(前歯は舌側、臼歯は遠心側)
  • 下顎は前方へ(前歯は唇側、臼歯は近心側)

に傾斜移動します。

 

Ⅲ級ゴムはその逆です。

 

Ⅱ級ゴムとⅢ級ゴムの上下的な移動は、少し難しい

顎間ゴムは斜めにかかっているので、当然、歯を挺出させます。
どのゴムでどの歯が挺出するのか、ということも簡単に答えられると思うのですが、

その挺出によって、

  • 咬合平面
  • 下顎下縁平面角
  • 下顎骨の回転

がどのように変化するのか、というと中々イメージすることが難しくなります。
顎間ゴムの歯の挺出による変化は以下のようにまとめられます。

 

顎間ゴムとその作用

 

2級ゴム 3級ゴム
咬合平面 急傾斜(上顎切歯の挺出) 平坦化(下顎切歯の挺出)
下顎下縁平面角 開く(下顎臼歯の挺出) 開く(上顎臼歯の挺出)
下顎骨の回転 後下方回転(下顎臼歯の挺出) 後下方回転(上顎臼歯の挺出)

 

「咬合平面」の変化がⅡ級とⅢ級で反対になっているのに
「下顎下縁平面角=下顎骨の回転」はⅡ級とⅢ級で同じ動きなあたりがトリッキーです。

 

これをそのまま覚えるのもよいですが、
私は忘れやすいので、いつでも思い出せるような考え方を覚えています。
いつも、以下の様な図を書いて考えると、覚えずとも毎回正しく答えられます。
試験中でも必ずかけるように超シンプルな図にまとめています。

 

 

Ⅱ級ゴムとⅢ級ゴムの上下的な動きがわかる図

 

まずはこのような基本の図を書きます。
上下顎の歯槽骨とゴムのかかる前歯と臼歯のみ書いた単純なものです。

 

 

Ⅱ級ゴムの場合

 

 

 

 

Ⅱ級ゴムの場合は、上図のように歯が挺出します。

その結果、

 

  • 下顎臼歯の挺出→下顎骨の後方回転=下顎下縁平面角の増加
  • 上顎前歯の挺出→咬合平面の急傾斜化

 

が起こります。
上顎でも下顎でも臼歯が挺出すると蝶番の根本に物が挟まったときのように
角度が開く方向に働きます。
つまり下顎下縁平面角が大きくなります。
これはⅢ級ゴムでも同じです。

 

 

 

 

Ⅲ級ゴムの場合

Ⅲ級ゴムの場合は、以下のように変化します。

 

  • 上顎臼歯の挺出→下顎骨の後方回転=下顎下縁平面角の増加
  • 下顎前歯の挺出→咬合平面の平坦化

 

前述のように下顎の臼歯の挺出は上顎と同じように、
顎を開く方向に作用します。
つまり下顎下縁平面角が増大します。
以下の図がわかりやすいでしょう。

 

 

顎骨は顎関節部で、根本が閉じていて、蝶番のような構造になってします。
臼歯が挺出したり、遠心に移動したりすると、
下顎下縁平面角が大きくなり、開咬傾向になります。

 

この機序は、あらゆる時に登場してきます。
連続抜去法の時、臼歯が近心に移動していくのが、
下顎下縁平面角が小さくなるので、過蓋咬合傾向が深まります。
よって、すでに過蓋咬合の人は連続抜去法は禁忌ですね。

 

顎間ゴム、前後的な変化だけではなく、上下的な変化もきちんと理解しておさえておきましょう。

今回は以上です。

病理学の勉強の仕方

病理像をたくさん見る。質より量。が重要

とにかく病理写真をたくさんみましょう。
質より量だと思います。
1枚の病理像をどれだけ詳しく説明できるようになっても、
問題では同じ写真はでません。
教科書は購入されていると思いますが、それでも病理像の写真すごく小さかったり、
複数の症例の病理像が載っていることはまれだと思います。
病理像アトラスが必要です。

とにかく、同じ疾患についてできるだけたくさんの量の病理像をみて、
なんとなくの感覚で、違いがつかめるようになることが重要です。

もちろん、需要な所見のキーワード、
棘融解だったり上皮真珠だったり、上皮の柵状配列だったり、リンパ球の帯状浸潤だったり、
必須のものはその病理像でどこがそれにあたるのかを把握しておく必要がありますが、
あまり深追いせず、とにかく手元にたくさんの写真に触れて、
できれば、定期的に見直せるように疾患ごとに写真をまとめておけるとベストです。

 

今回はどこでいい病理像が見れるのか、私のオススメのソースを
ウェブサイト、書籍など含めて書いていきます。

 

病理像がたくさん見れるオススメのサイト・本

 

著作権の関係で、大学の先生はそういった資料を配ってくれない大学も多いです。
自分で集める作業が必要になります。

時間ない人は、以下に紹介する本を2,3冊買ってしまいましょう。
Webはタダですが、見るのに少し時間がかかります。
やはり勉強に一番馴染むのはリアル書籍です。

iPadのPDFもWEBサイトもいいですが、目的のページまで時間がかかります。

2,3冊買うと良いというのは、
1つの疾患について、大体1冊の本で1-3症例ぐらいずつしかのっていないので、
もう少しバリエーション多くといいますが、たくさん像を見ておく必要があるからです。

 

僕は以下のものから疾患ごとに画像を切り貼りしてまとめて、
スクラップブック「病理像スペシャル」を作っています。

お金を節約したいのであれば、図書館でコピーをして作ってもいいかもしれません。
ただ、コピーはやはり少し画像が劣化して結構細かいニュアンスが掴めなくなるものもあります。

 

 

口腔病理基本画像アトラス ★★★★★

http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/menu_maim.html

口腔病理学会がつくっている病理像を集めたサイトです。
かなり数もありますし、何より説明など、学会お墨付きなので、
ネット上の情報だけど安心して勉強できますよね。
腫瘍疾患だけでなく、かなり多くの疾患の病理像が大きな画像でみれます。

 

みて学ぶ口腔病理  ★★★★☆

http://www.usamimi.info/~ororz/top.htm

砂書房から出版されている小宮山先生の「みて学ぶ口腔病理」の付録のCD-ROMの内容が
ウェブ上で一般に公開されています!
重要疾患について典型像と端的な説明とでわかりやすい構成になっています。
もちろんこちらの書籍もおすすめです。

 

口腔病理アトラス 高木 實   ★★★★☆

口腔病理のアトラスといったらまずこの本と次の本、2冊は必須です。
画像が豊富で、解説も結構詳しく、かなり理解が進みます。

 

 

 

口腔病理カラーアトラス 武田 泰典   ★★★★☆

口腔病理のアトラス、こちらも名著です。
とにかく写真が豊富で、解説が適度にあり、非常にわかりやすいです。
本ごとに比較して読むことでさらに理解が深まります。

 

わかる病理組織像―歯科国試完全攻略    ★★★☆☆

とりあえず、初心者はこの本を買いましょう。典型中の典型の画像が載っています。
国家試験ベースなのでコンパクトに無駄がありません。
ただ発売されたのが少し前で、今の国家試験には簡単すぎるような感じになっているようです。

とりあえず、わかりやすい本を!という方におすすめです。

 

カラーアトラス EBMに基づいた口腔病理診断学   ★★★☆☆

こちらは、クイズ形式になっているといいますか、
診断名は伏せてある状態で、所見や口腔内写真、病理像だけから自分で診断をつけさせ、
ページをめくると正解と解説、その他、鑑別疾患など書いてある構成になっています。
少し力がついてきたことに力試しに読んでみるとよいでしょう。
わかってくると、楽しいです。ただ全問正解は、難しいですよ OTL

 

 

おまけ

病理像ではないんですが、病理像の見方をイラストでわかりやすく解説した本が存在します。
以下の2冊オススメの本がありますが、どちらも絶版です。
中古しかないので、超貴重です。
無くなる前に買えた人はラッキーです。
授業で先生が図を黒板に書いて説明してくれる感じで、初心者にはすんごいわかりやすいです。

 

イラストとマンガで見る口腔外科病理診断のポイント 石田 武  ★★★★★

 

話し言葉で、師匠と弟子との質問形式でマンガのように進んでいきます。
疾患も数を絞って、腫瘍疾患のみで、大枠の理解を得るのに非常に良いです。
すべての大学の先生はこれをそのまま授業で黒板に書いて解説したらいいなじゃないかな―と思うぐらい。
こんな感じです。

 

 

図解病理学・口腔病理学実習書 石木 哲夫, 山本 肇  ★★★★☆

こちらは実習書と銘打っているので、非常に多くの疾患がイラストで書かれており、
各病理組織像の特徴が掴みやすいようになっています。
辞書的にも使えますし、ほんとイラストがきれいなので、感動します。
この口腔病理学というニッチな領域の本なのに、このクオリティ。
どれだけ時間かかったんだろう、、、と思うと、質とコストが絶対あわない。
本当奇跡のような本です。
この本が絶版だなんて、本当に残念です。

 

 

日本人と韓国人と中国人の違いを見分ける、ような

たくさん病理像をみてくると、なんとなくその疾患がこいつっぽいな、っていうのがわかってくるようになります。
これはちょうど、外国に行って、見かけたアジア人が
日本人なのか、韓国人なのか、中国人なのか見分けれるようになるのと似ています。
ある日、イギリス人の友達と話していた時に、あることが判明しました。

  • 彼はアジア人が何人か見分けられず、私は大体わかる。
  • 私は、白人が何人か見分けられず、彼は大体わかる。

ということでした。
この違いから、やはり日頃からどれだけみているか、その上で、違いが感覚的にわかる。
ということがこの学習プロセスの本態なのではないかと思いました。
アジア人だとファッションのスタイル、髪型、だったり女の子の化粧の仕方、でなんとなくわかります。

3年のときに、病理がわからなすぎて凹んでいた時に、とりあえず、
図書館にある5,6冊の病理像を疾患ごとにひたすらたくさん見ていきました。
そして、なんとなく、違いや雰囲気がわかるようになってきたとき、
この人種を見分ける感覚とすごく似ていることに気づきました。

今回は以上です。