石膏の硬化促進剤と硬化遅延剤をいつも忘れてしまう。
石膏の硬化促進剤と硬化遅延剤を覚える必要がありますよね。いつも、ただの暗記になってしまって、どれだっけ?って覚えてから数カ月後に忘れてしまっています。ここでは、こじけ的に理由をつけて、暗記しなくてもその物質が硬化を促進させるのか、遅延させるのか、わかるような、簡単な見分け方を説明したいと思います。
石膏の硬化反応
まずは、石膏の硬化反応を復習したいと思います。簡単にいうと、石膏の結晶が溶け出し、溶液内が、石膏のイオンで飽和してくると、なぜか、別の形として結晶としてでてくるんでしたね。結晶ができると、また、飽和じゃなくるので、さらに元の石膏が解けて、また過飽和になって、析出して、、、というのが永遠繰り返していくのが、石膏の硬化です。ポイントは、溶液内が石膏のイオン(カルシウムイオンと硫酸イオン)で、いっつも過飽和状態になってれば、加速度的に硬化が進んで行くことになります。
硬化の促進と遅延
簡単にいうと硬化促進剤は、イオンとして溶け出ていくものです。しかも、石膏のイオンにすごく似ているやつらです。これらが石膏イオンのようにふるまってどんどん溶液にとけていくことで、肝心の石膏のイオンが過飽和状態になりやすくしていきます。逆に硬化遅延剤は、大きい分子で邪魔になりそうなやつらです。
硬化促進剤
硬化促進剤は、遅延剤に比べて、かなり小さい分子で、イオンになる。しかも石膏(CaSO4)にイオンになった時サイズ感が似ている物が多いです。例えば硫酸カリウム(K2SO4)はカリウムイオンと硫酸イオンになるんですが、これらが擬似的にニセの石膏イオンとして振る舞うことで、石膏イオン(硫酸イオン+カルシウムイオン)が過飽和しやすくなり、どんどん硬化が進んでいきます。スラリー液は、そのまま飽和を助長させちゃうので、簡単ですね。
促進剤の例(名前から化学式簡単にかける):
- 塩=塩化ナトリウム=NaCl
- 硫酸カリウム=K2SO4(石膏は硫酸カルシウムなので似てますね)
- スラリー液(石膏の粉を溶かした液です。硫酸カルシウムです)=石膏泥
硬化遅延剤
硬化遅延剤は、促進剤に比べて、かなり大きい分子です。化学式がごついやつらです。物理的に邪魔になったり、カルシウムイオンを消費したりして、硬化を遅くさせます。単純なイメージで、「邪魔になる」です。
遅延剤の例(大きな分子で化学式が書けない、、大きくて邪魔しそう):
- ホウ砂=Na2B4O5(OH)4
- クエン酸なんとか=C6H5O7(生化学のクエン酸回路でお馴染み、Cが6つもありますね!)
- 血液(赤血球とかポルフィリン環あったり、結構ごついです)
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